2020年2月13日 第7号

 ブリティッシュ・コロンビア州北部でウェツウェテン先住民族が起こしたコスタル・ガスリンク社パイプライン建設反対デモに、警察が介入し逮捕者を出したことをきっかけに全国でデモが広がっている。

 BC州では、9日夜から10日早朝にかけてウェツウェテン先住民族を支持する人々がバンクーバー市とデルタ市にある港への道路を封鎖。貨物の運搬に支障が出るとして警察が介入し、約60人の逮捕者が出た。

 11日には州都ビクトリアで、この日から再開するBC州議会に合わせて、朝から先住民族の若者と支援者たちが州議事堂への出入り口を完全封鎖。議会が始まる前に入室できない議員も出た。しかし、副総督による施政方針演説は予定より1時間遅れながらも実施。BC州ジョン・ホーガン州首相の記者会見は中止となった。

 11日のバンクーバー市では、市議会前の交差点で午後2時ごろからデモが始まった。バンクーバーでも最も交通量が多いとされるキャンビーストリートとブロードウェイストリートの交差点が火曜日の午後完全に封鎖された。バンクーバー市警はバス会社や市民に迂回するよう呼びかけた。

 BC州中西部のスミザース近くでは鉄道を塞いだため、プリンスルーパート港へ出入りする列車に影響が出た。

 鉄道を塞ぐデモはオンタリオ州にも広がった。BC州のパイプラインに反対する先住民族を支援すると表明したティンディナガ・モホーク族が、ベルビルでカナディアン・ナショナル・レールウェイ(CN)が通行止めになるデモを7日から決行。線路を完全に封鎖をしていないが、デモの場所が線路に近すぎるため列車の運行ができず、トロント・オタワ間、トロント・モントリオール間が5日間にわたって運行停止となっている。貨物だけではなく、乗客が利用するVIAレールも停止し、州民らに大きな影響が出ている。オンタリオ州警察が交渉しているが、モホーク族代表はBC州ウェツウェテンから連邦警察が撤退しない限りデモを止めるつもりはないと語っている。

 ケベック州モントリオールでも同様のデモが実施された。

 連邦政府マーク・ガルノー運輸大臣は「列車が運行停止となれば経済への影響も懸念される」と語ったが、連邦政府が介入する段階ではないと、各州政府に対応を任せると介入には消極的な姿勢を見せた。

 

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