2019年8月15日 第33号

 サスカチワン州ムースジョー市のジェーソン・ゴーシエーさんは、かつては薬物中毒、精神障害、そしてホームレスという悲惨な状態にあった。

 一時はそこから抜け出したものの、昨年のバレンタインデーにパートナーと別れてから、再びホームレスに近い状態に戻ってしまった。途方に暮れていたゴーシエーさんに救いの手を差し伸べた人は、「誰かを助けること」と、彼にアドバイスした。

 やがて彼は同市でストリート・カット・バーバーを開き、隔週で日曜日にホームレスのための無料散髪を始めた。ゴーシエーさんがかつてホームレスだった頃、彼を信じて住む場所を提供したり散髪をしてくれた人々がいた。そして今度は自分が散髪を通じて、その役を果たそうとしている。

 パートナーのエイミー・マクリーンさんと共に町を歩き、路上にいる人に散髪が必要かどうか聞いて回るゴーシエーさん。彼は最初、この活動をアルバータ州カルガリー市で始め、その後ムースジョー市に移った。ストリート・カット・バーバーはこのほか、米ノースカロライナ州とイギリスにも支部がある。

 そんな彼らのこれからの夢は、カナダを横断しながらあちこちの町に2〜3日滞在し、ホームレスなどに散髪を行い彼らの手助けをすることだと語っている。

 ヘアスタイルは人それぞれ違うが、散髪は外見を変えるだけではなく、その人に力を与えると、本人も無料散髪を受けたことがあるドニー・ビズコさんは語る。

 そしてゴーシエーさんのさらなる目標は、人々のホームレスに対する見方を変えることだ。道行く人は、ホームレスの置かれた状況を知らない。もっと彼らに優しく接してほしいとゴーシエーさん。できることならば、この活動が野火のように広がり、ホームレスという否定的なレッテルを、彼らから消し去れることを願っている。

 

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