2019年4月18日 第16号

 アルバータ州の州議会議員選挙は16日に投開票が行われ、野党第一党連合保守党(UCP)が圧勝することが分かった。正式な開票結果は後日発表される。

 各メディアによる集計によると、87議席中UCPが63議席を獲得、過半数を大幅に超えて大勝したと伝えた。与党新民主党(NDP)は24議席と前回選挙の52議席より大きく議席数を落とし野党第一党となる。アルバータ党、自由党は1議席も獲得できなかった。得票率はUCP55・09パーセント、NDP32・24パーセント、アルバータ党9・19パーセント、自由党0・98パーセント、残りはその他となっている。

 カルガリー市の党本部でUCPジェイソン・ケニー党首は勝利宣言し、「アルバータ州にとって素晴らしい日になった」と支援者を前に語った。「アルバータの州民はこれまで我慢させられている期間が続いている。外国支援による社会派のデモによりカナダの天然資源が地中深くに眠らされたままになっている」とアルバータ州のオイルサンドを標的にしてパイプライン建設などに反対している環境活動家たちをけん制した。

 エドモントンに党本部のあるNDPレイチェル・ノッテリー党首は「州民に州首相として貢献できたことは非常に光栄なことでした」と語り、これからは野党の党首として引き続き党を率いていくと明言した。

 アルバータ州は2015年の選挙でNDPがそれまで44年間続いていた保守系政権を倒し政権交代に成功。保守系が強い州と知られるアルバータでNDPが圧勝したことは驚きを持って受け取られた。

 アルバータ州は天然資源を主要産業に置き、原油価格が高値をつけていた2014年まで全国で最も好調な景気を維持していたが、2014年から15年にかけて原油価格が急落すると経済は一気に後退へ。そんな時期に誕生したのがNDP政権だった。

 その年の秋には、連邦政府も保守党から自由党に政権交代し、環境対策を推進すると公言していたジャスティン・トルドー首相が誕生すると、炭素税の導入などでますます天然資源産業に影響が出ることが懸念された。

 さらにアルバータ州政府が推進しているアルバータの原油を海外市場へと輸出する手段としてのパイプライン建設もこの4年間遅々として進まず、アルバータ州では天然資源産業で働く州民などから不満の声が上がっていた。

 そうした不満の声を救って攻撃的な選挙活動を続けて来たのがUCPのケニー党首。元連邦保守党政権で主要閣僚を務めた経験もあり、今回保守派の支持を一気に集めた。

 トルドー首相は声明で、ケニー党首に選挙の勝利への祝辞を送るとともに、「州政府とともに雇用創出、中間層雇用の促進、インフラ整備、アルバータ州にとって重要なビジネスや産業を成長させ、アルバータ州が厳しい世界経済の中で競争力を維持できるように協力しよう」と語り、「さらに、アルバータ州民、そして全国民にとって重要な問題、キャノーラ生産者への支援や天然資源の市場開拓を実現しながら環境問題への取り組みを一緒になって提起していけるだろう」と語った。

 トランスマウンテンパイプライン拡張工事計画で対立しているブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン(BC)州首相はツイッターでケニー党首に祝辞を述べ、両州にとって関心の高い問題で協力できることを期待しているとメッセージを送った。

 ケニー党首はUCPが政権を取ったら、最初にBC州へのオイル輸送を停止する法令を施行すると語っている。

 

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