2018年10月18日 第42号

 ジャスティン・トルドー首相は12日、10月2日にサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏がトルコで消息を絶った件について「重要な問題」との認識を示した。2年に一度開催されるフランス語圏会議への参加のため訪問していたアルメニアでの会見で語った。

 トルドー首相は、「カナダはサウジアラビアでの人権問題について、公式にも、非公式にも、何年にもわたって憂慮していると訴えている」と語り、今後も人権問題については相手が誰であろうと強く訴えていくと語った。

 しかし、その口調は控えめと多くのメディアが指摘している。

 連邦自由党政権にはサウジアラビアに対して強く非難できない理由がある。今年8月に外務省クリスティア・フリーランド大臣のツイッターで、サウジアラビアで拘束されているサウジ系カナダ人の人権活動家2人の釈放を強く求めるツイートを掲載した。しかし、これをきっかけにサウジアラビアはカナダとの関係を絶つと警告。貿易の停止、トロントに乗り入れている航空会社の路線を停止、カナダの医学部で就学している学生の国外退去命令など強い対応を取った。また、サウジアラビアに駐在していたカナダ大使を国外追放にした。

 さらに、カナダはサウジアラビアにカナダが製造している装甲車を輸出している。保守党前政権時代に150億ドルで契約した。トルドー首相はサウジアラビアとの契約について、前政権から引き継いだもので契約は尊重する、しかし透明性と説明責任を強化していると説明した。

 アメリカのワシントン・ポスト紙の記者だったカショギ氏はトルコ・イスタンブールの総領事館に入ったあと行方不明になり、領事館内で殺害されたのではないかとの憶測が飛んでいる。

 トルドー首相は、この件に関しては懸念しているし重要な問題として同盟国と同調すると語ったが、「何が起こったかこれからもっと明らかになっていく案件であり、今後この件についてはコメントをしない」と語った。

 

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