2018年8月9日 第32号

 激しく、かつ全身を襲う急性アレルギー反応のアナフィラキシー。発症の際、医師の治療を受けるまでの間、この症状を一時的に緩和する緊急補助治療剤(アドレナリン自己注射剤)として普及しているエピペンが、供給不足に陥っている。

 エピペンの製造元であるファイザー・カナダは今年初め、社内での品質検証プロセスの改善と、サードパーティーからの材料供給不足が重なったことで、製品の供給に支障をきたしていることを明らかにしていた。

 現在のところファイザーでは8月上旬に出荷予定の製品を検品しているが、このプロセスによって遅れが生じていると、同社では説明している。

 カナダ保健省は、8月初旬の出荷が店頭に行きわたれば、品数に制限はあるものの、店頭からエピペンが全くなくなるような事態は避けられるとみている。それでも、今年初めから続いてきた受注残を解消するには数カ月かかるだろうと、同省はメディアに電子メールで回答している。

 アレルギーを持つ人々をサポートしている団体、カナダ食品アレルギーによると、ここ何カ月間の間は、薬局を何件か回れば手に入ったエピペンが、最近では全く店頭から姿を消しているという。エピペンを必要としている人にとってエピペンは命にかかわる治療薬であり、今の状況は不便というレベルを超え、憂慮すべき段階にきていると取材に答えている。

 

 

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