2018年3月1日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は2月20日に予算案を発表した。政権交代後初の新民主党(NDP)政権による予算案は、チャイルドケアと住宅問題の解決に重点を置いた予算案となった。

 この二つの問題については、NDPの選挙公約にもなっていた。

 チャイルドケアについては、10億ドルの予算を充て、新しいチャイルドケア制度が今年9月から始まる。BC州キャロル・ジェームズ財務大臣は、旧制度では2万6千家族しか対象とならなかったが、今回の制度は8万6千家族が対象となると語った。

 住宅問題の解消については、課税を強化し、より対象を広げている。一つは、投機物件と思われる不動産に対して課税される投機税。国籍に関係なくBC州での不動産所有者で、BC州で所得税を支払っていない人に対して課税される。住居者のいない物件も対象となる。2018年は公定地価の0・5パーセントを課税、2019年には2パーセントに引き上げられる。もう一つは海外購入者税の強化。現在の15パーセントから20パーセントに、この日から引き上げられた。さらにメトロバンクーバーだけだった対象地域もフレーザーバレー、ビクトリア、ナナイモ、中央オカナガン地方に広げられた。

 富裕層を対象にした税制としては他にも、今年4月1日から高級車に対する州税が引き上げられる。対象となるのは12万5千ドル以上の高級車。15万ドルまでは15パーセントに、それ以上は20パーセントに引き上げられる。

 NDPが公約として掲げていたMSP(健康保険)については、2020年1月1日を目標に撤廃するとしている。ヘルスケアについては15億ドルの予算を充て、シニアケアやファミリードクター制度の改善にあたる。

 BC州政府は、州民にとって「より生活費の負担が軽くなる」政策を実行すると約束してきた。その一端を垣間見せた。

 しかし、公約としていた一日10ドルのデイケアや住宅問題解消のための海外投資家への規制などは盛り込まれなかった。

 今回の予算案はチャイルドケアやヘルスケア以外にも、先住民族の言語復活のための予算やBCフェリー料金の引き上げ凍結など支出が増えているが、富裕層への増税などで、540億ドルの黒字予算を実現している。

 

 

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