2017年11月9日 第45号
オンタリオ州トロントのシャローム・オウアノウノーさん(25歳)は9月27日、喘息の発作を起こし同市北部のハンバーリバー病院に搬送され、人工呼吸器が取り付けられた。その3日後、病院側はオウアノウノーさんの症状から、神経学的基準(脳死基準)に従い死亡を宣告した。またその直後には死亡証明書も発行された。カナダの脳死ガイドラインによると、死亡と判断される状況は、不可逆的な脳機能と呼吸の停止となっている。
しかし超正統派ユダヤ教徒であるオウアノウノーさんの家族は、彼の死は彼の信ずる教義が定める死ー心肺の完全停止ーに従うべきだとして、裁判所に脳死判定の撤回と、生命維持処置を続ける命令を求める訴えを起こした。
また訴状のなかでオウアノウノーさんの父親は、こうした個人の信条を無視した判定は、人権と宗教の自由を激しく侵すもので、憲法違反だと指摘。もしこの訴えが認められなければ、オウアノウノーさんは取り返しのつかない損害を被ると訴えている。