2017年10月26日 第43号

 ケベック州とアルバータ州で連邦補欠選挙が23日に実施された。ケベック州はケベックシティに近い選挙区ラック-セントジョンで、1980年以来、保守系政党が議席を保持してきた。アルバータ州はエドモントン市近郊スタージェン・リバーパークランド選挙区、ここも保守党が長く議席を保持している。

 今回の選挙は、ケベックは保守党デニス・レベル前議員が、アルバータ州は保守党ローナ・アンブローズ前暫定党首が、政界引退による辞職で空席となっていたために実施された。

 結果はケベック州では自由党リチャード・ハーバート氏が、アルバータ州では保守党デイン・ロイド氏が当選した。

 アルバータ州は予想通りの展開。ロイド氏が77パーセントを獲得して圧勝。NDPは7・7パーセント、自由党は12パーセントと、2015年選挙よりも低い得票率となった。

 ケベック州の結果は予想外となった。自由党が38・6パーセントで当選、次点は保守党で25パーセント、次いでケベック連合党23・4パーセント、2015年選挙では健闘した新民主党(NDP)が今回は11・7パーセントと苦戦した。当選したハーバート氏は同選挙区の出身で立候補する直前まで、同選挙区を含むドルブーミスタシニ市の市長を務めていたという知名度があったことが有利に働いた。自由党は37年ぶりに保守党から同選挙区の議席を奪った。前回自由党が議席を獲得したのは、現在のジャスティン・トルドー首相の父ピエール・トルドー元首相時代。今回の結果に、自由党では2019年総選挙に向けケベック州でのさらなる議席獲得が実現できるのではと期待が膨らんでいる。2015年にはケベック州78議席のうち40議席を獲得している。

 一方NDPが苦戦を強いられた。今月誕生したNDP新党首ジャグミート・シング党首は、カナダ連邦主要政党初の非白人党首。インド系カナダ人でシーク信者のシング党首は、男性シーク信者特有の長いひげとカラフルなターバンという出で立ち。党首選の時には党内のケベック州党員から党首にふさわしくないのではとの声が上がったという経緯がある。今回の結果が党首への拒絶反応かは特定できないが、NDPがケベック州で厳しい戦いを強いられることは予想されている。

 保守党も今年5月に誕生した新党首アンドリュー・シェア党首で、37年間続いた保守党議席を失った事実は厳しく受け止められている。保守党の党首としてケベック州では存在感が薄いシェア党首で、どう盛り返していくのか。与野党で明暗の分かれた補欠選挙となった。

 

 

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