2017年9月28日 第39号

 アルバータ州カルガリーの映画プロダクションが制作した、難病を克服した患者やその関係者のドキュメンタリー映画がワールドプレミアとして、オンタリオ州トロントで開催されたトロント国際映画祭で上映された。

 『生き証人(Living Proof)』は、さまざまな神経疾患が進行していく難病、多発性硬化症(multiple sclerosis)を22年前に発症したものの、それを克服したマット・エンブリーさん自身が監督を務めたドキュメンタリー映画。

 エンブリーさんはラビンダー・ミンハスさんと、マンジート・ミンハスさん兄妹とともに映画会社スポットライト・プロダクションを設立、この映画の制作に取り組んだ。

 約3年の歳月をかけて完成したこの映画は、原因も治療法も分かっていない多発性硬化症が、患者本人やその家族などまわりの人の生活にどう影響するのか、またそれに対してどう対応していったのかが描かれている。その一方で、この病気に取り組む環境(チャリティ団体から薬理学業界まで)が持つ問題点も指摘している。

 エンブリーさんの父親アシュトン・エンブリーさんは、息子が多発性硬化症と診断されて以来、この病気について独自に調べてきた。その結果、現在処方されている薬の有効性に疑問を持つようになった。最終的にエンブリーさんは、こうした治療法をやめ、乳製品フリー、グルテンフリー、そして十分なビタミンDを補給する食事スタイルに切り替えた。さらに水泳などを含む運動をコンスタントに続け、この病気を克服することに成功した。

 現在は自分の経験を講演やウェブサイトでも紹介しているエンブリーさんは、この映画が特に多発性硬化症の患者を抱える家族に、希望や勇気を与えられればと取材に語っている。

 

 

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