2017年9月28日 第39号

 ブリティッシュ・コロンビア州自由党の党首選が激戦の様相を呈し始めた。26日までにすでに7人が立候補を表明。今後もさらに増えるとみられている。

 最初に立候補を表明したのは今月21日、前バンクーバー市長サム・サリバン議員。2013年の州選挙で自由党から州議会議員初当選。今年5月の選挙ではバンクーバー‐フォールスクリーク選挙区で当落ギリギリのところにいたが、辛うじて当選を果たした。都市圏と若者からの支持を集めたいと抱負を声明で発表した。

 続いて22日に立候補を表明したのは、BC州中西部テラセ地方のビジネスオーナー、ルーシー・セイガー氏。政治家の経験はなく政界へは今回は初挑戦。自由党敗北の要因は、好調な経済と州民の生活向上を結び付けられなかったことと分析。州北部で天然資源産業にもかかわってきた経験を生かしながら、現在の自由党には新しい風が必要と政界未経験を武器に党首選を戦っていく覚悟を示した。

 24日には前サレー市長ダイアン・ワッツ議員が満を持して立候補を表明した。2015年の連邦総選挙で保守党から立候補し初当選。現在は保守党国会議員として活動している。これまで党首選への立候補が噂されていたがこれで、サレー市で会見を開き、正式立候補となった。国会議員は辞職するという。「100パーセントBC州に集中する必要がある」と述べ、片足をオタワ、もう片足をBCではフェアではないと語った。今回の選挙でBC自由党は、黒字予算と雇用と社会保障をうまく結びつけることができなかったのが敗因と分析。州民の生活に密着した計画が必要と語った。さらに新民主党(NDP)とグリーン党が政策で協力する政権態勢は不健全とも語り、次の選挙で過半数を目指すと意気込んだ。

 25日にはBC州前高等教育相アンドリュー・ウィルキンソン議員がバンクーバー市で立候補を表明した。弁護士であり、医師でもあるウィルキンソン議員は、まずは薬物過剰摂取による死亡者の減少に力を入れるとし、さらにBC州が抱える問題の解決方法にも自身の考えを持っていると語った。ゴードン・キャンベル元BC州首相が2001年に自由党政権を実現した頃の党会長であり、当時の自由党を知る人物として党内でも信頼が厚い。2013年にバンクーバー‐キルチェナ選挙区から初当選。主要大臣を歴任している。

 ウィルキンソン議員の発表と同日、同会場で、時間をずらしてBC州北部ピース・リバー・サウス選挙区、元教育相マイク・バニエ議員も立候補を表明した。バニエ議員は今年の選挙で失敗した最大の要因は「州民の声を聴かなかったこと」と語り、経済的には成功した自由党政権だったがそれを弱い立場の州民へと生かせなかったと語った。好調な経済をどのように社会保障へとつなげていくかを州民に伝えていくことが重要と自由党の課題を語った。

 26日、さらに2議員が立候補を表明した。一人はマイク・デヨン前財務相。1994年の補欠選挙で初当選。党内では2番目に長く党に在籍しているベテラン議員。選挙区はアボッツフォード・ウエスト。クリスティ・クラーク前政権下では財務相として5年連続黒字予算を実現した。会見でもその実績を強調し、カナダをけん引するBC州経済を基盤として党の立て直しを計画することが必要と訴えた。2011年の党首選にも立候補しているが、4位と遠く及ばなかった。

 この日立候補したもう一人はマイケル・リー議員。今年5月の選挙でバンクーバー‐ランガラ選挙区から初当選したばかりの新人議員。当選前はビジネスを専門とする弁護士だった。会見では、住宅問題の解決や公共交通機関の充実を主張し、多様性を生かした経済発展で州を盛り立てることを訴えた。

 すでに大激戦となっているBC自由党党首選だが、トッド・ストーン前運輸相も立候補に興味を示し、まだまだ立候補者は増えるとみられている。

 BC自由党は今年5月の選挙で勝ち、少数派政権となった。しかし、7月に再開した議会で不信任決議され、16年続いた政権の座を明け渡した。同月、新民主党(NDP)政権が誕生。自由党クリスティ・クラーク党首が辞職を表明し8月に政界を引退したため、自由党党首の座とケローナ‐ウエスト選挙区が空席となった。

 次期党首は来年2月3日に決定する。党首選への立候補は今年12月29日まで可能だが、実質的には10月15日の第1回党首討論会までとみられている。討論会は全6回が予定されている。

 

 

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