2017年5月11日 第19号

 国会で4日、薬物過剰摂取による死亡者減少の対策として、「善きサマリア人薬物過剰摂取法」が可決された。これは、薬物過剰摂取が原因とみられる命の危険がある人を見つけた時に、薬物過剰摂取者の救助のために警察や救急車を呼んだ場合、救急車を呼んだ人自身が少量の薬物を所持していたとしても罪に問わないというもの。

 カナダ、特にブリティッシュ・コロンビア州では薬物過剰摂取による死亡者が急増し、問題となっている。その傾向が隣州アルバータ州や全国に広がりつつある。

 しかし、薬物過剰摂取が原因とみられる命の危険がある人を見つけたとしても、見つけた人自身が薬物を所持している場合は自身の身を守るため、通報されないケースが多いという。それが薬物死亡者増加につながっている可能性もあることから、今回の法案が少しでも死亡者減少につながることを期待している。

 この法案は2016年にBC州コキットラム‐ポート・コキットラム選挙区の自由党ロン・マッキノン議員が法案を提出していた。

 ジェーン・フィルポット保健相は声明で、「国民の命を守るのが最優先」と語り、少量の薬物所持者でも自分が拘束されることを心配せずに過剰摂取者を救うことができると語った。

 BC州では違法薬物過剰摂取による死亡者が急増している。昨年は931人が死亡。特にフェンタニル関係の死亡者が増えている。先月、BC緊急ヘルスサービス(BCEHS)は、4月26日に薬物過剰摂取による緊急出動回数が130件となり、2016年11月20日の過去最高121件を上回ったと発表した。そのうちバンクーバーでは52件だった。

 

 

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