2017年4月27日 第17号

 ジャスティン・トルドー首相は20日、米ドナルド・トランプ大統領がカナダの酪農業保護を不公平と批判したことについて、どの国も農業については何らかの保護政策が取られていると反論した。

 この日は、アメリカのブルームバーグニュースとの質疑応答に応える形で初めてトランプ大統領のカナダ批判に言及した。

 さらに「農業について自由貿易が成功しているように振る舞うのは止めよう」と、自由貿易について農業は例外である現状を語った。また、アメリカの酪農産業は対カナダ貿易で4億ドルの黒字額があることも言及した。

 今回のトルドー首相の発言は、18日にトランプ大統領がウィスコンシン州でカナダの酪農産業保護政策を批判したことに対する反論だった。カナダは酪農業と養鶏業に供給管理制度を導入している。その結果、牛乳の輸入には270パーセントという高い関税がかけられている。それに加えて昨年、関税がかかっていないチーズなどの原料となる限外ろ過乳に対して、国内製品を優先する制度を導入。これがアメリカ、特にウィスコンシン州、ニューヨーク州の酪農業を直撃し、同2州はアメリカ政府に対し対応を求めていたという背景があった。

 ただ18日のトランプ大統領の発言は、関係州への国内向けアピールとみられていた。しかし、20日にも同様の発言をホワイトハウスで行ったことからカナダ国内では深刻に受けとめられている。トランプ大統領は大統領執務室でカナダの酪農産業保護政策について、「カナダがアメリカの酪農家たちにしてきたことは恥ずべきことだ」と語り、さらに、木材・製材貿易についても問題があると言及した。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。