2016年12月8日 第50号

 オンタリオ州トロントの、オンタリオ湖に面したビリービショップ空港で2日朝、あたりを飛行していたドローンが旅客機の運行に支障を及ぼすインシデントが発生した。

 影響を受けたのは、同空港に向かっていた、ポーターエアラインのボンバルディアDHC-8型機で、アメリカ・ワシントンDC州ボストンから同空港に向けて飛行中だった。

 インシデントの報告を受けたカナダ運輸省は、ドローンの種類についてはコメントしていないが、ポーターエアラインのパイロットからの報告では「危険な飛行パターンだった」と、メディアへの電子メールで説明している。

 空港近辺など管制官によってコントロールされている管制空域や、一般の飛行が禁止されている制限空域での無許可飛行や、他の航空機の安全を阻害する飛行は違法であり、最大で2万5000ドルの罰金または禁固刑になると、運輸省。今回の件はすでにトロント市警察が捜査を開始している。

 インシデントが起きたビリービショップ空港付近では、つい先日もポーターエアラインの旅客機が航路上を飛行していた物体との衝突を回避する行動をとり、乗務員が軽いけがを負っている。この時の物体は、通常のドローンよりも高い高度(9000フィート)かつ速いスピードであり、その正体はわからないままとなっている。

 トロント市警察では、今回のインシデントにつながる情報提供を呼びかけている(416-808-1400)。

 またメディアが入手した交通省のレポートは、こうしたドローンと航空機のニアミス報道が、無人航空機を用いた新たなテロ手法のアイデアをテロリストに与える危険性を指摘している。レポートは、昨年9月にブリティッシュ・コロンビア州アボッツフォード空港に向かっていたウェストジェットのボーイング737型機とドローンとのニアミス(高度差60メートルまで接近)など5件のニアミスについて報告している。

 その一方でレポートは、入手が簡単な娯楽用ドローンの滞空時間(10〜40分)と、航空機の飛ぶ上空の強い風の中では、意図的にドローンを航空機に衝突させるのはほぼ不可能に近いとしている。またテロリストがカナダ国内でドローンを入手するのは容易であるものの、そうした目的でドローンを飛行させることは逆に、その意図を公表することでもあり当局の関心を引くことになるとも指摘している。

 その例として2015年5月、BC州バンクーバー島ナナイモ港の上空で不審な飛行をしていたドローンが、港の警備官によって目撃され交通省に報告された例を挙げている。このドローンは空撮を行っていたとみられている。

 

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