2016年11月24日 第48号

 ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの、日系移民の歴史とも深い関係を持つ漁港スティーブストンの住宅地に17日、中国人排斥を訴えるビラがまかれた。

 ビラには「どけ、白人ども。ここは中国人がもらった!」という見出しと、中国の国旗のデザインと同じ五つの星が描かれている。そして、現在コミュニティが抱える問題を白人至上主義の立場から糾弾、最後にこうした活動を行う団体への参加を促している。

 ビラをまいたのは、白人至上主義を掲げる団体オルタネイティブ・ライト(alternative right、通称オルト・ライト)。

 嫌がらせを警戒し、匿名希望でメディアに連絡してきた住民は、これをドナルド・トランプ効果だと指摘、こんなことがカナダで起こるとは思っておらずショックを受けたと語っていた。

 アメリカの次期大統領に決定したドナルド・トランプ氏は、そのチーフアドバイザーにメディア業界の実力者、スティーブ・バノン氏を指名している。バノン氏は白人国家主義者の声を代弁することで知られているメディア、ブライトバート・ニュースの会長を務めているが、これに合わせるかのようにオルト・ライトの活動も活発になってきている。

 また別のスティーブストンの住人は、カナダ、特にリッチモンドでは差別主義や、不安をあおって人種間の分裂を引き起こそうとするような動きを認めることはできないと語っていた。全ての人が隣人かつ、同僚でもあり友人でもあり、アメリカのような憎悪の拡散はここでは願い下げだと、付け加えていた。

 リッチモンドRCMPも、人種差別や憎悪などに基づく行為には厳しく対処するとコメント、積極的に警察に連絡するよう呼びかけていた。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。