2016年8月25日 第35号

 カナダを代表するロックバンド、トラジカリー・ヒップのリードボーカル兼ギターのゴード・ダウニーが、末期の脳腫瘍と診断されていたことが公表されたのは、今年の5月だった。

 それでも彼らは予定されていた全国横断ツアー、マン・マシーン・ポエム・ツアーを敢行、その最後のコンサートが20日、彼らの地元であるオンタリオ州キングストン市で行われた。

 人口12万人あまりの同市中心部は昼間から通行止めとなり、多くの人が、このバンドの曲を流すレストランやパブに足を運んだり、自宅のパティオでアルバムに聞き入ったりする姿が見られた。

 また、市庁舎の隣のスプリング・マーケット・スクエアには大型スクリーンが設置され、チケットを入手できなかった人のためにコンサートの様子が中継された。

 ここに15歳になる長男を伴って訪れていたホリー・アン・デビッドソンさんは、最後になるかもしれない今日のコンサートを親子で体験するために、実家に戻ってきたと取材に答えていた。デビッドソンさんは現在、同州オタワ近郊で暮らしているという。

 デビッドソンさんは、たとえ二度とコンサートが行われなくても、また、ゴード・ダウニーががんに倒れても、彼らの音楽は永遠に生き続けるだろうと断言、自分の息子も将来、彼の息子らと、このバンドの曲に聞き入ってほしいと話していた。

 

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