2016年8月11日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアの裁判所裏庭にできたホームレス集落、テント・シティ。青いタープやテントなどのほか、簡易2階建て小屋までが立ち並ぶ様は、カナダが抱えるホームレス問題を象徴するとまで言われてきた。

 2015年春に、2-3張りのテントから始まったこのテント・シティは、最近ではおよそ100人が暮らしていた。しかし、BC州最高裁判所が7月初めに出した命令により、8日に解散へと追い込まれた。

 ちなみに、州政府はテント・シティの環境維持(ごみ収集や簡易トイレの設置、またテント・シティ住人をサポートするコミュニティ・ワーカーの活動資金など)のために、毎週18万4千ドルを支出してきた。

 この日が近づくにつれ、州政府が提供する簡易宿泊施設などに移る人も増えてきたが、テント・シティが消滅したからといって、ホームレス問題の根本にある貧困問題が消え去ったわけではなく、政府はただ問題を人目から遠ざけただけだと、ホームレス支援団体は非難している。

 貧困問題を解決できない原因のひとつは、政府の低所得者や障害者への補助が十分でなかったり、州によっては物価上昇に見合った増額がなかったりすることだと、支援団体のひとつトゥゲザー・アゲンスト・ポバティ協会のエグゼクティブ・ディレクター、ケリー・ニューフックさんは指摘する。さらに、多くの都市での低所得者向け住宅などの不足や、法的に許されている家賃値上げ率が、貧困層をホームレスに転落させる危険度を増しているとも付け加えている。

 しかし、連邦政府がこの問題を解決するための住宅政策を施すと約束していることを引き合いに出し、国が本腰を入れれば必ず解決できるはずだと、ニューフックさんは取材に語っていた。

 

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