ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドの住人が先月立ち上げた、外国人が出産目的で来加する、いわゆる「出産ツアー」を規制するよう求める嘆願に関し、保健局は病院側の影響はないとコメントしている。

 カナダ連邦議会への電子嘆願を立ち上げたのは、ケリー・ストラチャックさん。リッチモンド中央選挙区選出の連邦議会議員アリス・ウォンさんがスポンサーとなっている。

 バンクーバー・コースタル保健局の統計によれば、2015ー16会計年度中にリッチモンド総合病院で生まれた1935人の新生児のうち、305人が非カナダ人夫婦から生まれたものだった。これはおおよそ6人に1人の割合となる。また2014ー15会計年度中には、最多の339人を記録していた。

 これらの妊婦の国籍は記録されていないが、病院からの回答によると、そのほとんどが中国大陸からであり、市内にはこうした客をあてこんで「出産ツアー用ホテル」を用意している旅行会社もあるという。

 ストラチャックさんは、この国の社会保障制度などの恩恵を、国内に住むこともせずに将来享受しようという目的があからさまな出産であっても、新生児に国籍を与える今の制度はこの国に住み続けている国民に対して不公平であり、また、世界中に例がないと嘆願の趣旨を説明している。

 例えば、イギリスでは夫婦のいずれか一方が少なくともイギリス国民か永住権保持者でなければ、新生児には国籍が与えられない。またオーストラリアの場合、非オーストラリア国民の夫婦から生まれた子供は、10歳になるまで同国内に住み続けなければ同国籍を得ることができない。さらにアメリカは、国籍保持者が世界のどこに住んでいても、納税義務を課している。

 このように「出産ツアー」を憂慮する動きがある中で、保健局では少なくとも「出産ツアー」妊婦の増加によって、地元住民の妊婦が出産時に病床・病室が足りなくなっているような状況には陥っていない、と説明している。

 保健局によれば、地元の妊婦も「出産ツアー」妊婦も、平等にリッチモンド総合病院の分娩室を利用できているという。この病院はBC州内でもトップクラスの産婦人科サービスを提供している。

 また、その施設は常にフル稼働に近い状態だとも説明しているが、過去18カ月の間に他の病院に転送された妊婦は28人で、施設やスタッフ不足が理由のものは14件だけで、これは特に問題視されるような数字ではないとしている。

 非居住者が同病院で出産する場合、通常分娩で7500ドル、帝王切開で1万3000ドルの前払いが求められ、これは健康保険制度でカバーされている居住者が支払う額のおよそ3倍となっている。

 ストラチャックさんの嘆願は、申請以来約1カ月で5500人ほどの署名を集めている。 (連邦議会への嘆願は、『petition』『e-397』で検索)

 

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