カナダ歳入庁は15日、ブリティッシュ・コロンビア州の不動産について、脱税などの疑いがないか調査に乗り出すと発表した。50人の所得税調査員、20人の消費税調査員を導入する。BC州、特にメトロバンクーバーを対象に調査する。

 メトロバンクーバーでは近年、特に不動産価格の上昇が急激で、バンクーバー不動産協会によると過去5年で50パーセント上昇しているという。背景には海外投資が大きく影響しているともいわれているが、正確な実態はまだ明らかになっていない。カナダ政府も海外投資の影響を示唆しているものの、対応策は講じていない。BC州政府は現在調査を進めている。

 今回の歳入庁の調査は、不動産に絡んでの脱税を突き止めるためのもので、必ずしもバンクーバーの不動産事情を解消するものではない。調査対象とするのは、高級住宅を所有しながら低所得者として申告している納税者で、不動産転売、資産売却益、売上税未申告などの方法で脱税している可能性がないかを調査する。

 同庁によると2015ー16年には、BC州で不動産関連339件の調査を実施し、1400万ドルを回収したという。今回は調査強化で不動産に関連する不正な脱税を取り締まることを目的としている。

 バンクーバーでは今年に入り全国紙の記事がきっかけで、不当転売が明らかとなりバンクーバーの不動産急騰の要因になっているのではないかと問題になった。

 BC州政府はこの対策に乗り出すと発表したが、現在もまだ調査段階で、今月その調査の一部をマイク・デヨン財務相が発表したにとどまっている。また、バンクーバー市は非居住物件に対し特別課税を導入すると発表、BC州政府がこれを承認した。しかし不動産の安定を保証するものではないとの声も多い。

 BC州新民主党(NDP)デイビッド・イービー議員は、歳入庁の発表に調査員の数が少なすぎると批判した。国税調査のデータを基に分析したところによると、低所得者と申告している納税者のうち約2万4000世帯が、いわゆる高級住宅に住所があるという。こうした傾向は脱税の可能性があるとイービー議員も指摘している。

 ただ、これらの全ての住民が違法とは限らないため、調査によって明らかにすることが必要としている。

 

System.String[]

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。