プリンス・エドワード・アイランド州南端のリトル・サンドにある仏教施設の修道僧らが10日、島内で買い集めたロブスターを海に返した。

 この施設は仏道を求める人たちに限らず、様々な宗教関係者やスピリチュアル・カウンセラーなどに、高度な仏教教育を提供する目的で作られたグレート・エンライトメント・ブディスト・インスティテュート・ソサエティ。彼らが買い集めたロブスターは、なんと270キログラム。このロブスターとともに漁船に乗り込み、隣町のウッドアイランド沖に向かい、ロブスター捕獲用の仕掛けがないところでロブスターを海に放した。

 同ソサエティの高僧ダンさんは、この行いの目的は慈悲心の涵養であって、特にロブスターだけに向けられたものではないと説明している。また、仏教徒として個人個人の食習慣を尊重しているため、菜食主義者やビーガンになることを求めているのでもないと、付け加えている。

 修道僧らはロブスターを放す前に、20分ほどの読経を行い、仏陀の慈悲心を称えた。しかしダンさんは、慈悲心は思いやりの心であり、別に仏教徒やお経を読まなくても、「もし自分の愛する人がその立場だったら、自分はどうするか」という、他人の立場でものを考えられるようになれば、それで十分だと説明している。

 みんなが助け合うことで、誰もが安心できる状況に落ち着くことができるはず。そうなれば、この世界は調和に満ちた住みよいものになるだろうとダンさん。今回の彼らを手助けした漁師も、ロブスターを放しても安全なところへ案内するなど、好意的だったという。

 

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