長年、言い尽くせないほどの痛みにさいなまれ疲れ果てたと、安楽死を希望していたアルバータ州の女性が先週初め、医師の立会いのもとこの世に別れを告げた。

 彼女の代理人である弁護士の発表によると、イニシャルがE・Fとだけ公表されている、この58歳の女性は先月、アルバータ州の最高裁判所に該当するクィーンズ・ベンチ裁判所から安楽死の許可を得ていた。

 この女性は精神障害の一種、転換性障害が重度に進行しており、精神的理由から体の各所の筋肉がけいれんし、激痛や偏頭痛が絶えなかった。また、まぶたの筋肉がけいれんし目を開けることができなくなり、実質的に失明状態であったほか、嚥下(えんげ)障害で何も食べられない日が2日間続くこともあったという。歩行機能も失い車椅子の生活となり、有効な治療法もなく裁判所には「自分のクオリティ・オブ・ライフは失われた」と訴えていた。

 なお連邦政府はクィーンズ・ベンチ裁判所の判決に対し、安楽死は近い将来の自然死が十分予見できる身体的な不治の病の場合にだけ認められるべきで、精神障害が原因となっている今回のようなケースは除外すべきだと控訴していたが、アルバータ州控訴裁判所はクィーンズ・ベンチ裁判所の判決を支持し、控訴を棄却していた。

 代理人弁護士によると、E・Fさんはバンクーバーの病院で、家族と友人らが見守る中、安らかに息を引き取ったという。

 

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