ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで昨年、交通事故を起こした直後に出国していた中国籍の青年が逮捕された。

 事故当時は同州リッチモンドに住んでいたユウフイ・ワン容疑者(19歳)は昨年4月12日未明、当時17歳の友人をリッチモンドからバンクーバーに親の車(メルセデス・ベンツ)で送る途中、市内のサウス・ウェスト・マリン・ドライブを制限速度の約5倍となる250キロメートル毎時で暴走、57番アベニュー交差点近くの私邸の木に激突した。

 この家の敷地が非常に広かったため、住人は物音を耳にして窓から外を確認したものの、事故車の存在には気がつかなかった。結局、車は近くを通りかかったドライバーに発見され、中に閉じ込められた2人は約1時間後に救助された。

 助手席に乗っていた青年は頭部損傷および脳腫脹、顔面と腕の骨折、そして眼球にも怪我を負う重傷だった。

 事故車(メルセデス・ベンツ)は、運転中の各種データを記録するようになっており、残されたデータも用いて事故を調査した警察によると、ワン容疑者は片道1車線の道を約250キロメートル毎時で西方面に走行中、コントロールを失って57番アベニューの手前で反対車線にはみ出し、そのまま交差点を突っ切り、家に突入した模様。

 記者会見で警察は、ワン容疑者の運転は同乗者も周囲の安全も省みない、全くの愚挙であり非常識にもほどがあると強い口調で非難、巻き添えになる人や死者が出なかったことは奇跡としか言いようがないと語っていた。

 ワン容疑者自身は、事故で軽い怪我を負っただけで、病院で治療を受けたものの翌日には退院し、そのまま中国に戻ってしまった。

 その彼に、業務上過失致傷罪の容疑で逮捕状が出されていたのを承知していたのかどうかは不明だが、ワン容疑者は3月末に、カナダ市民権取得の式典に出席するためにカナダに入国。到着したバンクーバー国際空港で逮捕され、訴追された。当然式典には出席できなかった。

 ワン容疑者は次回の出廷までの間保釈されたが、パスポートは没収され、いかなる車の運転も禁止された。

 

System.String[]

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。