クリスマスの飾りつけの定番とも言える、ジンジャー・ブレッド・ハウス。大型のクッキーをデコレーション用砂糖(アイシング)でつないで家を作り、それをさらにクリスマス風に飾り付けていくものだが、このお菓子の家を、オンライン掲示板で450万ドルの値で売りに出した青年がいる。

 30センチ四方弱のアルミホイルの「敷地」に、2日がかりでこの家を「建設」したのは、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの中心部に住むアリ・ロンさん。バンクーバーの異様とも言える住宅価格相場を揶揄することを思いついたアリさん、「こうした古風な一軒家は、土地開発業者がコンドミニアム建設用地獲得のために買いあさっている典型的な家。彼らはこうした物件に450万ドルぐらいをポンと払っている」と、その動機を取材に語っている。

 ここではたとえ年収が50万ドルあっても、住宅ローンが組めない。多くの人が賃貸に住んだりルームメートを募ったりしていると話すアリさん。彼も住んでいるコンドを貸し出し、市西部に引っ越すことをパートナーとともに考えたこともあった。しかしあまりの高値と物件不足で、あきらめざるを得なかったという。

 ところでオンライン掲示板の物件には、毎日のように問い合わせが来ている。ケーキとの物々交換を申し出る者や、自動車用品など扱うホームセンターの全国チェーン、カナディアン・タイヤの金券、カナディアン・タイヤ・マネーの200万ドル紙幣の模造品を提示した者などもいた。

 このお菓子の家、450万ドルで落札されることはまずないが、アリさんはBC州小児総合病院への寄付するためのオンライン基金を開設。最高額の落札者にこの家を譲渡するとともに、そのお金も寄付するつもりだ。(オンライン募金のウェブサイトは『GoFundMe』、『Gingerbread』、『Childrens』、『Hospital』で検索)

 

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