タイミングは今しかない

昨年5月、ひょんな成り行きから「双子の娘を連れて留学する!」と決心した私。2か月後の7月には、夏の日差しが燦々と注ぐバンクーバー国際空港に降り立っていました。こんな短期間決行ですから、それはそれは忙しかった。準備段階はただ猪突猛進していたかと言えば、立ち止まってう〜んと悩むこともありました。なんと言っても子どもの環境をガラリと変えてしまうことが大きかった。その頃、転居してまだ1年だったし、幼稚園にも楽しく通っています。「そのまま卒園」か「親子留学」か。その岐路に立って、両者を繰り返しシミュレーションするのでした。
私たちの親子留学は、ひとまず子どもの小学校入学前の期間限定で考えています。期間にして1年半くらい。この幼少期に「英語の耳」を与えてあげたい。家族の事情もある。住居の事情もある。タイミングは今だ! この時を逃したらチャンスは二度と来ない! 心の声はそう叫んでいました。
単身赴任中の夫とは、週1回週末に作戦会議を開きました。私が揺らいでいたら、夫も心配になって「やっぱり撤回!」と宣言するかもしれません。迷いの類は心の奥に押し込んで、意気揚々然と「親子留学」コースを歩き始めました。
子どもにとってラクな道ではないでしょう。親にとって「充実した子育て」をできそうな道をとったとも言えます。でも、私たち夫婦が考えた最善の道。子どもにとっても私にとってもチャレンジの道。一緒に乗り越えていきたい、乗り越える力をつけていってほしい、そう強く願っています。

カナダ行きの決め手は

20歳の頃、半年間アメリカ・オレゴン州ポートランドに語学留学していたことがあります。なぜポートランドだったかと言うと「安全そうだったから」。当時は、留学=アメリカと思い込んでいて、カナダはもちろん、イギリスやオーストラリアの選択肢もなく、誰にも相談せずに決めてしまいました。今思えば、もっと刺激的な留学ライフを送れた場所があった気がしないでもないですが、かけがえのない青春の(!)思い出を与えてくれたポートランドで正解だったのだと思います。
親子留学となると、行き先も私の好奇心赴くままには決められません。「子どもの教育環境」を最優先すべきで……第一に治安がいいこと、第二に文化と自然があること、第三に差別・偏見のないことを条件に挙げました。教育環境を検討したら、次に物価や住居などの生活面、日本からのアクセスなどを検討します。
最初の候補だったアメリカ本土、ハワイ、カナダ、イギリス、アイルランドから、まず銃社会のイメージが拭えないアメリカ本土が外れました。次に「物価」でハワイとイギリスが、「距離」でアイルランドが外れ……。
まるでカナダが消去法で残ったかのような図ですが、あらゆる角度から検討する中、カナダは加点していく一方でした。「理想的教育環境」にぴったりだったのに加え、当時のレートが1ドル76円だったのも背中をプッシュしました。
そして、やはり決め手となったのは、昔住んでいたポートランドから近いことだったかもしれません。カナダを訪れたことはないけれど、美しい緑と街並み、フレンドリーな人びとの姿は簡単にイメージできました。カナダなら大丈夫、と根拠のない自信すらありました。そしてカナダの中でも「世界の最も住みやすい都市トップ3」の常連であり、温暖で、日本とのアクセスもよいバンクーバーを親子留学先に決定したのです。

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2013年2月14日 第7号 掲載

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