ありがたい友達の存在

 家族親戚と遠く離れ、何より夫不在の家で暮らして いる私たち親子にとって、友達はありがたく心強い存在 です。プリスクール時代のママ友達Mさんは、子どもた ちが卒業し別々のキンダーに通うようになった今もよく してもらっている一人。Mさんの子どもCくんは、絵とダ ンスが得意で木の実や枝のコレクションも豊富なアー ティストタイプの男の子です。  Mさんと親しくなったのは、昨年10月。娘たちがプリ スクールに入学して最初の遠足があった時です。車ナ シの私たちは誰かに乗せて行ってもらわねばならず、ク ラスのママさん全員宛てに、娘と私の自己紹介を添えて メールを送りました。娘たちの就寝後に始めた英作文 に時間がかかり、夜中になってようやく送信。ホッとし て私も就寝。朝イチでメールチェックすると、一通の返 信が……それがMさんでした。遠足の朝、迎えに来てく れた車で初めてゆっくり話をすると、なんと共通点の多 いこと。雑誌編集をしていた私と同業者で、年もほぼ同 じ。さらに夫同士もほぼ同業者、仕事人間で家庭的タイ プではないとのこと。Mさんの英語はわかりやすく、話 はおもしろいように弾みます。  それからはプール、アイススケート、水族館、ボウリ ング、公園と連れ立って出かけるようになり、私のESL 通いの際には娘たちをあずかってくれました。娘たちに 人形作りを教えてくれたこともあります。またCくんが 使っていないIKEAのキッチン一式をわが家に貸し出 してくれ、娘たち唯一のおもちゃらしいおもちゃとして 大活躍しています。

ターキーが教えてくれたこと

 週末のサンクスギビングデーは、Mさん宅のディナー にお呼ばれしました。Mさんのお母さんと妹さん一家、 旦那さんの兄弟が集合し、まあにぎやかなこと。子ども は総勢6人。3時に訪問してから、大人たちはリビング でワインを飲み飲みくつろいで、ターキーの焼き上がる のを待ちます。子どもたちは家の敷地全体を舞台に鬼 ごっこ。娘はちょくちょく顔を出し「ターキータイム?」 と確認しては、また庭へ飛び出していきます。香ばしい 匂いが漂ってくると、ターキータイム。Mさんのお母さ んが丁寧に切り分けてくれ、レッドヤムのマッシュポテ トや芽キャベツのオーブン焼きなどと一緒に並べられ ていきました。  子どもたちには、専用の子どもテーブルが用意さ れました。白いテーブルクロスがかけられ、ナイフと フォークが一式ずつセットされた本格仕様です。Cくん 従弟の1歳の男の子も子どもテーブルへ。行儀よく最後 まで椅子に座って食べていたのは1歳クンただ一人で、 テーブルマナーにかけては4歳から10歳のお兄ちゃん お姉ちゃんを引き離していました。大人テーブルでは 種々のお酒と共に緩やかな大人時間が流れ、話はいよ いよ盛り上がります。Mさんファミリーに飛び入りさせ てもらった形ですが、終始心地よく、帰宅後も心がぽか ぽかしていました。  娘たちとの3人生活は「すべきこと」に優先順位をつ け、できるだけ早い時刻にベッドに入ることを目標に、 リズミカルな生活の遂行を心がけていますが、頭の中 からスケジュール表を追い出して団欒のこの時を楽し む、それこそが人生の豊かな時間かもしれないとディ ナーテーブルの片隅で感じたのでした。気の置けない 仲間と美味しいものを食べて語らう、それで充分じゃな いか……。幸せの実をプレゼントされたような、そんな サンクスギビングでした。  ちなみに、家庭的ではないと聞いていたMさんの旦那 さん、パーティー準備や後片づけの手際はスマートだ わ、食後のコーヒーも淹れてくれるわで、どうやら私の (日本の?)定義とは大きく異なっていたことが判明し たのでした。

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2013年10月17日 第42号 掲載

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