<放射線>

まず、放射能の問題は見えない、匂わない、感じないなどと人間の五感では何も感じることができないので、予測することも避けることも不可能なことである。不安定な原子が安定になろうとする過程で放射線を出す。こうした放射線を出す物質を放射性物質という。放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線などの種類があり、それぞれ物質を透過する能力が異なっている。

●アルファ(α)線・アルファ線は高速で飛ぶ「アルファ粒子」の流れのこと。
陽子2個と中性子2個によって構成される粒子をアルファ粒子と呼ぶ。アルファ線は強いプラスの電気を帯びている。アルファ線は物質を透過する力は弱く、薄い紙一枚程度で止まる。

●ベータ(β)線・ベータ線は高速で飛ぶ電子の流れのこと。
マイナスの電気を帯びており、透過力はアルファ線よりは大きくガンマ線より弱い。薄い金属やプラスチック板で止まる。

●ガンマ(γ)線・エネルギーの大きい電磁波の一種。
物を透過する力が強く、コンクリートや鉛の板などでなければ遮断することはできない。

<被爆とはなに?>

外部被爆・放射性物質が人体の外部にあり、体外から被爆すること。X線、ガンマ線、中性子線などの透過力のある放射線のみが影響する。中性子線は原爆爆発時以外はあまり発生せず、アルファ線は洋服を着ていればほとんど止められる。ベータ線は表皮付近で止まる。
内部被爆・放射性物質を含む空気、水、食物などを摂取することにより起こり、全ての放射線が影響する。特にアルファ線、ベータ線の影響が大きい。体内に入った放射線源の周辺への影響は、通常のSV(シーベルト)値で表現される影響の少なくとも数百倍の効果を持つ。エネルギーを作るミトコンドリアが攻撃されると、日本でいうぶらぶら病(慢性疲労)で悩むことになる。60ベクレルだと1秒に60回、猛烈な放射線を周囲に出しており、沢山の細胞に影響があるので内部被爆はとても危険である。

<放射線障害の様々な原因>

ガン以外の疾患の方が放射線の影響がある。一番影響が出やすいのが骨髄。細胞の分裂、増殖速度が高いほど放射線に敏感である。
(1)バックグラウンド放射線(自然界にもともと存在している放射線)
(2)医療(X線、ガン治療放射線)
(3)ウラニウム採掘、処理、精製、核燃料/核兵器製造過程における放射線
(4)原爆炸裂時の放射線(高線量のガンマ線と中性子線、死の灰)
(5)原水爆の核実験(死の灰(Fallout))
(6)原発(正常運転のルーティーン放出(圧力調整など)
(7)原発事故(スリーマイルアイランド、チェルノブイリ、福島など)

<様々な健康障害>

(1)原爆直接被爆(外部被爆)・脱毛、紫斑、下痢などの急性症状、死亡
(2)妊婦被爆(内部被爆)・死産、乳幼児死亡、奇形児、出生数年後に白血病にかかることも(妊婦の下腹部へのX-線照射などを除く)
(3)ガン以外の疾病(内部被爆効果)・心疾患、血液病、消火器疾患、肺疾患、泌尿器疾患、慢性疲労、脳疾患、免疫機構の破壊による感染病発症など。
(4)ガン(多くは内部被爆)・甲状腺ガンは一年くらい、白血病は被爆から数年後、その他のガンは10年後くらいから20年以上発症までにかかることも。放射線による発ガンにはある程度の防御機構がある。ガンは上の(2)や(3)のような疾病に比べると出にくい。

<細胞増殖と放射線への敏感度>

放射線によるダメージが修復される前に細胞が分裂・増殖するとダメージが拡大されるので、分裂・増殖速度が高いほど、放射線に敏感である。
(A)胎児>乳幼児>子供>青年>大人の順で影響を受けやすい。また、お年寄りは体細胞が脆弱になっているので放射線によるダメージを受けやすい。
(B)体組織でいえば、細胞分裂の速いものは男性精巣、骨髄(血液)、消化系内壁、頭髪など。

<広島、長崎原爆投下後の後遺症>

原爆投下直後の被害は、主として、大量の熱と突風と高い放射線による急性放射能症での死亡。この被害を免れた人々(被爆者)は、その後、様々な健康障害に悩まされた(主として、放射性物質を含むものが体内に入って、それが内部被爆を起こさせたことによる)

<質疑応答>
「放射性物質を中和することは出来ないのでしょうか?」
— 人間では制御できないので、入ってしまった時に薬を取り入れてうまく出せれば良いのですが、今の段階では研究している人はいますが放射性物質を中和することはできません。
「東京に住んでいましたが、原発事故をきっかけに健康の心配からバンクーバーに移住しました。夫は仕事の関係で東京に残っていますが、周囲にはそろそろ戻ってきても良いのではと言われています。ただ、医師の夫にはまだ数年は分からないから戻るなと言われています。あとどの位待てば良いのでしょうか?」
— どこで何が起きるか誰にも予測不能です。放射線の粒があってもそれに影響される人とされない人がいます。この質問には正確には答えられませんが、あまり怖がって生活をしないほうが良いと思います。できることは、原発がなくなるまで反発することです。そして食事などは気をつけるようにすれば良いと思います。
「東京から3カ月だけバンクーバーに来ています。被災地のボランティアを色々としてきました。日本に戻ってからもどんどんボランティアをしたいと思っています。私はもうすぐ70歳になりますので、例え被爆しても発症する頃には死んでいると思いますし、何も心配しないでボランティア活動をしたいですが、若い方にだけはすすめられません。それに対してはどうでしょうか?」
— 確かに若い方たちには被爆地に行くことは勧められません。放射能がきても「あ、痛い!」など何も感じませんから。放射能を科学的に特定し証明することは非常に難しい故に、これくらい以下なら大丈夫だよ、なんていうことを主張する原発関係者などには騙されず、我々はごまかしに気付いて日本の経済を心配するよりも命を大切に、原発の反発は続けていきましょう。

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会の最後に、落合講師は「放射能のデータは調べればいっぱいあるのに、残念ながら世間ではあまり知られていません。原子産業が成り立たなくなるから、彼らは知られたくないし、政府のやり方にも反映されています。今までは中々データの発表さえ出来ませんでしたが、今は努力してようやく発表することは可能になりました。2001年キエフでの会議では、IAEAなどがロシアの学者の発表をつぶしました。原子力産業が発表する人々をやっつけ、真実の最終報告をつぶしてしまいます。真実を知るためにも「Where is the Truth」というドキュメンタリー映画がありますので、ぜひご覧になって下さい」と締め、会場からは拍手が起こりセミナーが幕を閉じた。

(取材 門利 容子)

落合栄一郎氏 プロフィール

東京出身、43年前にカナダ、バンクーバーへ。その後、カナダ、アメリカ、スウェーデンなどの大学で化学教育・研究に携わる。数年前に退職した後、バンクーバーに定住。原発事故と放射性物質による環境と食品の汚染は続いている中、この問題を化学者という専門的な立場から追い続けているバンクーバー九条の会の会長。著書に「原発と原爆ー放射能は生命と相容れない」など。

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