2019年7月25日 第30号

6月29日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のロブソンスクエア、および6月30日、同州ウィスラー市のオリンピックプラザで長野県観光プロモーションイベントが開催された。長野県からは北佐久郡軽井沢町、上田市、長野市、松本市の4都市より、藤巻進軽井沢町長や各市観光協会の職員ら総勢11名が来加し、参加者に長野県をアピールした。

北佐久郡軽井沢町は、ウィスラー市と姉妹都市提携を結び、今年で20周年となる。これを記念して、北佐久郡軽井沢町が上田市、長野市、松本市を引き入れ、欧米では第一弾となる長野県観光プロモーションイベントの開催が実現したという。

そこで、姉妹都市提携20周年を軽井沢町長として迎えた藤巻進氏にインタビューを行った。

 

参加者と記念撮影をする藤巻進軽井沢町長(中央)(左から)軽井沢町議会議長・佐藤敏明氏、戸隠そば山口屋・専務取締役・山口寿文氏、(その他)参加者

 

軽井沢町とウィスラー市が姉妹都市提携した背景には何がありますか?

 軽井沢とカナダとの結びつきは1886年からだといわれています。カナダのオンタリオ州トロント市生まれの英国聖公会宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが、布教の途中で立ち寄った軽井沢のさわやかな気候と美しい自然に魅了され、軽井沢を生涯の避暑地としました。1895年に、軽井沢最古の教会である「軽井沢ショー記念礼拝堂」が創設され、それ以降、軽井沢が外国人の間で有名になったといわれています。

 また、1998年のオリンピック冬季競技大会が長野で開催され、カーリング競技が初めて正式種目となりました。それを機に、世界で最もカーリングの競技人口が多いカナダとの交流がますます深まりました。この2つの大きな結びつきが背景となり、1999年3月3日、軽井沢町と同じリゾート地として知られるウィスラー市と姉妹都市提携を結びました。

軽井沢町やウィスラー市の魅力とは何ですか?

 軽井沢町に関しては、東京から新幹線で1時間とアクセスしやすいことや、避暑地として130年以上もの歴史をもつことですね。1972年より、軽井沢の自然を守り続けるために、「自然保護対策要綱」が制定され、自然保護、ごみ処理、水資源保護などの環境保全対策や、軽井沢の景観が損なわれないような建築基準、文化財保護対策の基準等を示し、それらを順守しています。ウィスラー市には何度か訪問していますが、やはりスケールが大きいですね。広大なマウンテンリゾートで、アウトドアスポーツも充実しているところが魅力に感じます。また、軽井沢のような清涼感がありますね。

ウィスラー市との姉妹都市関係で軽井沢町にはどのように変化がありましたか?

 軽井沢町の文化使節団をウィスラー市に派遣し、踊りや芸能を披露したり、中学生を対象とした交換留学制度が始まったりと、国際交流関係を築けたことをとても光栄に思います。姉妹都市提携を行ってから、これまでに軽井沢町の文化使節団の4団体56名がウィスラー市で講演をすることができました。また、中学生を対象とした交換留学制度は2001年3月に始まり、今年で19回目を迎えました。これまでに、述べ219名の軽井沢町の中学生がウィスラー市へ、182名のウィスラー市の中学生が軽井沢町へ、それぞれ約一週間の短期留学をしています。子どもたちが、自分の町や市の紹介についてのプレゼンテーションを行うのですが、その準備の過程で、自分の町や市について、まだ知らないことや気づいていないことを調べたり、何を伝えたいかを考えたり、それらを英語でどのように言えるのかを調べたり等、たくさんのことを学んでいます。さらには、交換留学先でのホームステイを通じて文化の違いを体験したり、自分の英語が通じた時の喜びを噛みしめたりすることで、子どもたちが世界へ目を向けるきっかけになっていると感じています。

今回の長野県の観光プロモーションイベントはいかがでしたか?

 約20年前より、台湾、タイ、シンガポール等のアジア地域でこういったプロモーションイベントを開催しておりますが、欧米での開催は初めてでした。しかし、予想以上に反響があり、大変うれしく思っております。姉妹都市のウィスラー市だけでなく、北米有数の世界都市のひとつであるバンクーバー市でもイベントを行うことができましたので、効果を期待したいです。

今後、ウィスラー市とどのような関係でいたいですか?

 そうですね、最も大切にしたいのは中学生の交換留学制度ですね。子どもたちが、カナダでの生活体験したことをきっかけに、世界への視野を広げられたら良いなと思っています。特別なものではなくて、自然なふうに国際交流を今後も続けていければと考えています。

 他には、ウィスラー市からさらに学び続けたいということですね。軽井沢町には避暑地として130年の歴史がありますけれども、課題もゼロではない状況です。例えば、ウィスラー市の公園やオリンピック広場等の施設の景観を見ると、都市計画の偉大さを感じます。そういったウィスラー市にある魅力から習い、軽井沢町に反映することができれば、もっと素敵な町になるのではないかと考えています。

(取材 わしのえりか)

 

ウィスラーイベント会場にて笑顔の藤巻進軽井沢町長 (写真提供:軽井沢観光協会)

 

ウィスラーイベント会場にてカップケーキを手に持つ、ウィスラー市長Jack Crompton氏(左)と、藤巻進軽井沢町長(右)(写真提供:軽井沢観光協会)

 

手裏剣ゲームを楽しむ参加者

 

回転式抽選器による抽選会が行われた。抽選の景品を参加者に渡す軽井沢観光協会副会長・荻原代志智氏(写真提供:軽井沢観光協会)

 

浴衣の試着を楽しむ参加者。着付けをするのは信州上田観光協会・龍野尚子氏(左)、軽井沢観光協会・新宅弘惠氏(右)(写真提供:軽井沢観光協会)

 

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