老齢年金 (Old Age Security-OAS)

カナダ国内に居住しているカナダの市民権を持つ人、もしくは法律上居住資格のある人を対象に、65歳から支給されるのがOASだ。財源は税収で、就労していた際に年金を支払ったかは関係ない。

カナダ居住者が、受給を申請する場合は、
・申請の許可を得る時点で、カナダの市民権を持つ、もしくは法律上居住資格があること
・18歳以降、最低10年間カナダに居住していること
が必要だ。

国外居住でも申請は可能だが、カナダを発った時点で、
・カナダ市民権もしくは永住権を持っていること
・18歳となったときからカナダに最低20年間居住していること
が必要。居住者は10年間であるのに対して、国外居住だと20年間なので、少々、ハードルが高くなる。

低所得の年金受給者を支援するために、OASにプラスして支給される、補足年金(Guaranteed Income Supplement - GIS)もある。OASとは異なり、GISは受給条件の一つにカナダに居住することがあるので、日本居住者は申請できない。GISの受給額は、配偶者などパートナーがいる場合は、パートナーと合わせた収入額によって異なる。

OASの申請は65歳になる6カ月前、もしくはOASの申請書類を受け取ったときに行う。自分自身で申請するのが普通で、代理申請の場合は、センターに問い合わせる。

申請書類はカナダもしくは米国からなら、月〜金曜日の8時30分〜16時30分の間に、1-800-277-9914に電話でリクエストする。もしくはサービスセンターで請求する。その際、SIN番号を用意しておこう。日本からは月〜金曜日の東部標準時8時30分〜16時30分の間に、1‑613‑957‑1954に連絡する。コレクトコールも可能だ。ただし、電話がつながらないなど問題がある場合は、地元の大使館や領事館に連絡する。

あるいはインターネットを使うことができるなら、ウェブサイトで用紙を印刷することができ、最も手軽だ。

http://www.servicecanada.gc.ca

<受給額>
目安として、今年7月から9月までのOAS受給額を紹介する。
既婚者などのGISについては、配偶者がOASの受給を受けているかなどによって異なる。

 

カナダ年金(Canada Pension Plan - CPP)

カナダ年金は、18歳以上70歳未満が就労すると、支払わなければならない政府の年金制度だ(CPP上障がい者とされる人、CPPを受給中の人は除く)。CPPは老齢保障年金(OAS)に上乗せされ、受給額は加入者が支払ってきた金額と期間によって決まる。

<CPPの種類>
退職年金 Retirement Pension
障害年金 Disability Benefits
遺族年金 Survivor Benefits
がある。退職年金は退職後、一定の年齢になってから受給を始める年金だ。その他、


・遺族年金

遺族年金には、Death Benefit(一時金)、Survivor's Pension(死亡した被保険者の生存する配偶者もしくは、コモンローでのパートナーに毎月給付される、遺族年金。寡婦、寡夫年金)、Children's Benefit(死亡した被保険者の、18歳未満の子どもに毎月給付される、遺族年金)の3つがある。

・18歳から25歳までの子どもへの遺族年金
遺族年金を受け取る子どもは18歳未満だが、18歳から25歳でもフルタイムの学生はCPPを受給することが可能。(Children's Benefits for Students )
・ CPP障害 (CPP Disability)
これまで十分にCPPを納付してきた被保険者が、障害により定期的に就業できなかった場合。書面で申請を行う。

 

<受給資格>
● 65歳以上、もしくは、60 歳から64 歳の間で法律の定める受給資格を満たす人。
● 60歳から64歳で受給を希望する場合、『work cessation』(休業)テストを受ける必要がある(ただし、このテストは今年末までで、来年以降、システムが変わる予定)。65歳以前にCPPの受給の開始を希望する場合、受給額は所定の割合で減額される。たとえば、2011年に60歳で受給を開始すると、一カ月0・5%(年間30%)の減額となる。
●また、この減額割合は2012年から2016年にかけて、少しずつ増え、2016年に60歳で受給を開始すると、65歳で開始するのと比較して、年間36%減となる。

さらに2011年以降、受給開始を65歳から70歳までの間にすると、受給額が増える。例えば2013年に70歳で受給を開始する人は、65歳で受給しているのと比べて年間42%の増額となる。

CPPを受給するには、申請が必要で、申請しない場合は、受給できない場合もあるので要注意。

 

<受給額>
受給額は、納入額と納入期間などを元に算出され、各人、金額が異なる。月額は毎年1月に消費者物価指数(CPI)に基づいて決定される。2011年については、下記の表のとおり。



<申請>
CPPの受給は自動的に始まるものではなく、被保険者がいつからと決めて申請する必要がある。

申請時期…受給したいと思う月の少なくとも半年前に申請するのを勧める。
方法…記入した申請書を郵送する。申請書はサービスカナダのホームページからダウンロードできるほか、Human Resource Centre of Canada 各事務所でも配布している。郵送を希望する人は、1―800—277—9914(フリーダイヤル)に電話。オンラインでも申請可能。オンライン申請は、以下のアドレスから。

http://www.hrsdc.gc.ca/en/isp/common/rtrinfo.shtml

 

子育て支援(Child rearing Provision)

1958 年12月31日以降に生まれた子どもを持つ人は、7歳までの子育ての期間、所得がなかった、もしくは減った場合、この期間をCPPの計算から除くことができる。
年金納入額が減った期間を除き、受給額を増やす制度で、両親ともに収入が減ったとしても、双方ともに適用することはできず、主に子どもの世話をしたとされる一人だけだ。

 

<カナダ以外の国で居住、もしくは働いた場合>
カナダ政府は、多数の国と国際社会保障協定を結んでいて、年金受給者などが利用できることが取り決められている。日本との協定の施行は、2008年3月1日からだ。
この制度では、施行までは駐在員などで、カナダと日本の年金制度の両方に加入して、二重に保険料を負担していたが、その必要がなくなった。また、日本とカナダの年金給付に必要な期間を相互に通算できるようになることから、かつて日本の年金制度に加入していた後、カナダ国籍の取得などで日本の年金掛金への支払いを止め、年金受給権を得られなかった人でも、CPPの加入期間と通算することで、日本の年金受給権を取得できる可能性もある。さらに、日本とカナダの両国で年金受給権を得る可能性もある。これらの結果、日本の年金をカナダ国内で、逆にCPPを日本国内で受け取ることもできる。

 

年金については、各人の状況で変わってくるので、サービスカナダに問い合わせて欲しい。

(取材 西川桂子)

 

問い合せ先

OAS、CPP について
電話(フリーダイヤル):1-800-277-9914 月〜金曜日の8:30〜16:30

フリーダイヤル以外の番号なら、オタワ:1-613-957-1954 月〜金曜日8:30〜16:30
ファクス:1-613-952-8901

直接出向いて質問するならサービスカナダのオフィスで
ダウンタウンにあるサービスカナダオフィス
Sinclair Centre, Suite 415 757 Hastings Street West
Vancouver, British Columbia

その他、最寄りのサービスカナダオフィスは以下のアドレスから検索できる

http://www.servicecanada.gc.ca/cgi-bin/hr-search.cgi?app=hme&ln=eng

もしくは、打ち込みに自信がなければ、Googleなどの検索エンジンでFind a Service Canada Officeで探してみる。

年金協定については
カナダ、米国からのフリーダイヤル1-800-454-8731

郵便
Service Canada
Ottawa, ON  K1A 0L4
CANADA

問い合わせ時にはSIN番号を用意しておく。

日本政府

日・カナダ社会保障協定に関するQ&A(社会保険庁)

http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/question/qa08.htm

 

(この情報は2011年10月の情報です)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。