カナダ赤十字社による東日本大震災の被災者への義援金募集活動について教えてください。

甚大な被害となった日本の震災について、カナダ赤十字(www.redcross.ca)でウェブページを立ち上げました。ページをご覧いただくとお分かりいただけますが、オンラインや電話、テキストメッセージ送付、一部金融機関を通じて、募金が可能です。また、お近くのRed Crossオフィスに連絡いただく(tel 604-709-6600)か、Canadian Red Cross Lower Mainland Region, 3400 Lake City Way, Burnaby, V5A 4Y2に郵送いただくこともできます。小切手は、Canadian Red Cross宛てで、日本の被災者に送りたいという方は、メモ欄に“Japan Earthquake”、“Japan Earthquake/Asia-Pacific Tsunami”などと、明記してください。

Japan Earthquake/Asia-Tsunamiとありますが、アジア津波ということは、日本の震災の被災者に寄付したいと考えて、寄付を行っても、日本以外の被災者に一部であれ義援金が送られる可能性があるということでしょうか。たとえば、2004年のスマトラ島沖地震ではスリランカを中心に津波で大きな被害がありました。被災地は現在も復興に苦労していると聞いています。

カナダ赤十字では今回の東日本大震災、2月のニュージーランド大地震、2010年のハイチ大地震というように、特定の災害に対する支援・寄付を募集しています。また、それぞれの特定災害について集められた寄付金は他の災害などにまわすことはできないと、法律で定められています。東日本大震災の募金活動は、日本赤十字社からカナダ赤十字社に対して直接の要請により、地震が発生した3月11日に開始しました。英語の名称、Japan Earthquake/Asia-Tsunamiは、立ち上げた時点では、地震による津波の被害がアジア太平洋諸国にも及ぶ可能性があったために付けられたものです。インドネシア・スマトラ島沖地震では、インドネシア、インド、スリランカ、タイなど広範囲で被害がありました。

しかし、東日本大震災では被害は日本に限られている上、日本で甚大な被害がありました。ですから、日本以外に義援金が送られることはありません。Japan Earthquake/Asia-Tsunamiとして、寄付いただいたお金は、全て日本の赤十字社に行きます。

 

自分が募金した義援金が確実に日本に送られるようにするにはJapan Earthquakeのみでいいのでしょうか?

Japan Earthquakeのみの記載でも、Japan Earthquake/Asia-Tsunamiという記載でも、このアピールについて寄付された義援金は全て日本赤十字に送られます。

在カナダ日本国大使館のウェブサイトにも義援金の受付について記載がありました。「お送り頂いた義援金は、日本赤十字社を通じ、被災者への義援金として使用されます」、そして、「日本赤十字社への電子送金や、カナダ赤十字社のホームページ上でオンラインの寄付も可能です」とあります。すなわちここにある、どの方法でも日本赤十字社に義援金は送られます。ただし、カナダ赤十字社を通じて寄付を頂いた場合は、カナダ税法上で控除を受けることができる領収書が発行される。それだけの違いです。

義援金の税額控除について教えてください。日本赤十字社へ直接寄付する場合、カナダ税務当局の見解では、カナダ法人ではないため、税額控除の対象外ということですが、カナダ赤十字への寄付は税額控除の対象になるということですね?

はい。10ドル以上の寄付金には、税額控除のための領収書が自動的に発行されます。オンラインでの寄付の場合はすぐにeメールにて領収書が送られますが、電話、郵送によるものは寄付のボリュームにより、2-3ヶ月かかる場合もありますのでご了承ください。

 

領収書の発行先は小切手に記載されている名称、住所に対してでしょうか。
はい。異なる場合はメモで指示してください。フルネームと郵便番号、郵送先住所が必ず必要です。電話番号があると助かります。オンラインでの寄付の場合、入力した名称、住所です。

 

カナダ赤十字による東日本大震災の義援金の募金活動では、合計金額の上限はありますか。目標とする金額に達したら、差額は他に送られるという噂もあります。

東日本大震災における日本の損害は莫大です。私たちがどれだけ集めても十分ということはありません。私たちが東日本大震災への募金を終了するのは、日本赤十字から「ここまででいいです」などと連絡があったときで、基本的にそれまでは募金を続けます。今、現在の被害は350億ドルにのぼるとも推測され、十分な額に達することはまだまだ難しいと思われます。

ウェブサイトにある「赤十字が必要とする額を超えて集まった募金」に関する文言で質問がありましたが、これはシステム上、記載されているもので、Japan Earthquakeとあるご寄付は日本に送られます。

たとえばハイチ大地震に関する募金活動は、もう積極的には行っていませんが、ハイチへの募金として送っていただいた義援金はハイチに送金します。IFRCのサイト(www.ifrc.org)にレポートがあります。ご参照ください。

 

集められた義援金は100%日本に送られるのでしょうか?
義援金の使用については、ウェブサイトにあります。

募金は日本の被災地で行われている緊急援助と復興支援活動のために使用されます。カナダ赤十字は日本赤十字と強い関係で結ばれていて、震災発生直後、国際的要請がされる前から、直接、連絡を定期的に取り合っています。日本赤十字には6万人の社員と2百万人のボランティアがいて、災害対応の体制が万全に整っているため、人材派遣は今は必要がないと連絡がありました。現時点で、日本赤十字は金銭上の援助が最も必要としているということで、カナダ赤十字の支援を求めています。スタッフ派遣も可能ですが、言葉の問題もあります。食料品など物資を送っても、カナダの缶詰は日本の被災者の口に合わないかもしれません。輸送コストも高くつきます。これらの理由から、日本赤十字の要望にしたがい、一番効果的な、金銭の形での援助を行っています。

最近のCase Statementを参照ください。International Red Cross (IFRC)は二人派遣しました。ほか、専門的な人材が必要であれば、いつでも派遣できるようスタンバイしています。

読者の中には、寄付に対するカナダ赤十字のコストを知りたいという人がいます。何パーセントぐらいになりますか?
募金活動における領収書発行など、赤十字の活動には事務的経費もかかります。経費は5~7%になります。

 

アメリカ赤十字は1000万ドルをすでに日本に送っています。カナダ赤十字は募金と別枠で、日本への義援金を送る用意がありますか?
カナダ赤十字では現時点で500万ドルを日本に送っています。この金額にはBC州政府からの50万ドルなどが含まれます。

ブリティッシュ・コロンビア州は以前から日系人、日本人が多く、太平洋岸という土地柄、文化や産業を含め、日本との結びつきがとても強く、募金活動が盛んです。現在、行われている、日本の被災者のための募金活動は、BC州だけでも今現在で400以上になりました。日本と同じ地震帯にあり、東日本大震災は他人事ではありません。そのため、カナダ人の間でも関心が強く、多くの寄付が集まっていますし、ボランティアしたい、日本に派遣して欲しいといった申し出もたくさんあります。しかし、日本赤十字からもそういった要請は現時点ではありません。派遣のための費用や言葉、文化の問題を考えると、非現実的なので、今のところお断りしています。

 

28日時点で、ニッポン支援のためカナダ赤十字に集まった義援金は既に1500万ドル。その額は増え続けている。


(取材・文 西川桂子)

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