桜楓会30周年 記念式典・懇親夕食会

さわやかな夏の晴天に合わせるかのように、ダウンタウンのコーストプラザホテルで8月9日、「桜楓会設立30周年記念式典・懇親夕食会」が開催された。創設当時から現在に至るまでのメンバーが、スライドを見ながら過去30年の歴史を振り返り、それぞれの思い出を語り合ったりと、なごやかな夕食会となった。

 

 

(左から)桜楓会創設者代表・鹿毛達雄氏、10代目会長・桑原誠也氏、11代目会長・山下俊忠氏、桜楓会会長・久保克己氏

  

30年の歴史と共に

 100人を超える参加者の会員を前に、久保克己(くぼかつみ)桜楓会会長が開会の挨拶。1985年に設立された桜楓会が30周年を迎えた喜びとお礼を述べ、桜楓会の歴史、思い出を振り返りながら、懇親会の流れの説明をした。そのあと、在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏の挨拶が続いた。岡田総領事は、1985年は自身がオタワ勤務を始めた年であることを挙げ、カナダ移住に興味を持つ知人のために桜楓会の存在が役に立ったことなどを語り、祝杯をあげた。

 祝杯のあとは、BBQがビュッフェ形式で用意されており、参加者は歓談しながら舌鼓を打った。

 

スライド写真と共に 振り返る歴史

 30年にわたる桜楓会の歴史をスライド写真を見ながら振り返った。

 まず最初に桜楓会創設者代表の鹿毛達雄(かげたつお)氏が誕生期(1983年~1985年)を解説。「カナダで第二の人生を考える退職移住者のための桜楓会結成の頃」の歴史を説明した。

 まだまだ『退職移住』という言葉が耳慣れない頃「老後をカナダで/退職者移住のすすめ」という文章を日本の『海外移住』(JICA監修)という雑誌に寄稿したところ、新聞の一面コラムで取り上げられ、問い合わせが殺到した。

 また、この後1987年に、カナダへ退職移住した元読売新聞記者・稲垣長映(ながてる)氏の著書『30万円/月で黄金の日々ム定年後の快適ライフのすすめ』という海外退職移住について書かれた本が話題となり、日本人退職者のカナダへの移住熱が高まった時期でもあった。1990年にカナダ政府が退職者移住制度を廃止するまでは、比較的容易に移住が可能な時期であった。

 1984年12月頃、『移住者の会』の中に『退職移住者の会』という名称でグループが組織されたが、1985年2月に改名して現在の『桜楓会』が誕生した。

  成長期(1986年~1991年)は、桜楓会副会長のアンディ九十九(つくも)氏が解説。1987年に、シルバーコロンビア計画の視察団がやってきた時のことや、1989年のウィスラー・バス・ツアーのことなどを、当時の写真と共に分かりやすく述べた。

 拡大発展期(1992年~2008年)は、桜楓会10代目会長の桑原誠也(くわばらせいや)氏が解説。拡大発展期の字の如く、様々なイベントや催し物を行った時期として、健康講座や文化教養講座を頻繁に、多種多才な会員みずからによる講演会を行ったことなどを挙げた。  

 そして充実期(2009年~2014年)は、桜楓会11代目会長の山下俊忠(やましたとしただ)氏が解説。日系コミュニティ団体で一番充実した組織を目指した6年間で、2009年7月に、天皇皇后両陛下がカナダを訪問された時に、300本の日本国旗を作り配ったことや、桜楓会の規約会規の改正や経費削減により会費の値下げができたこと、東日本大震災の際は即日寄付金活動を行い、約8000ドルの金額を領事館経由で日本赤十字に寄付したことなどを語った。

 

これからの桜楓会

 久保克己会長は、「輝け!人生の先達たち。今を楽しみ、社会へ貢献して、素晴らしい生き方をしてきた人々が、充実感をもってこれからも過ごしていけるように、今の先達たちが、楽しい仲間と有意義に(人生を)充実させていくために桜楓会があればと願う。知識や経験豊かな会員が多いのはこの会の財産であり、知的好奇心を刺激しさらに発展していくことになるであろう。また年を重ねていく上で、情報や知識の共有も必要となってくるであろう」と述べた。会の設立から30年経った今、121世帯189人の桜楓会会員がいることを挙げて、感謝の意を表した。

 このあと、25年の長期にわたる会員として現在92歳の上甲カネコ氏に最長会員の表彰状授与が行われ、続いて名誉会員として鹿毛達雄氏、桑原誠也氏、山下俊忠氏の3氏に感謝状が授与された。

 最後に、30周年記念式典実行委員の大西真雄(おおにしまさお)氏による閉会の挨拶があり、桜楓会30周年記念式典・懇親夕食会は和やかに締めくくられた。

(取材 今井まき)

 

*「桜楓会」は、バンクーバーとその近郊に住む、おもに日本人退職者を中心とする会。この会は国内外様々なイベントを通じて共にカナダ生活を楽しみ、親睦を深め、情報交換を行なうことを目的に1985年に設立された。創設当時はカナダ政府が退職者移住(夫婦のどちらかが55歳以上であることが条件)を認めていたこともあり、退職した移民の会員が多かった。「移住者の会」の会員のうち、退職者や退職後を考える世代は「桜楓会」へ、今後も企業活動を開拓して行く比較的若い世代は「企友会」へと分かれて行った。

  

 

 

在バンクーバー日本国総領事・岡田誠司氏

 

桜楓会会長・久保克己氏

 

閉会の挨拶をする記念式典実行委員・大西真雄氏

 

表彰されたあと、挨拶をする上甲カネコ氏

 

全員で乾杯

 

1990 年1月 第一回新年会  もみじレストランにて(写真提供 桜楓会)

 

1994年9月 桜楓会誕生10 周年の集い(写真提供 桜楓会)

 

1994 年6月 第一回桜楓会ゴルフ(写真提供 桜楓会)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。