2018年9月13日 第37号

1982年にノンプロフィット団体としてBC州の映画産業を推進するために発足されたバンクーバーの大イベント。今年も9月27日から10月12日まで、カナダと世界各国の様々なジャンルの映画300本以上が一挙に上映される。VIFF恒例の監督や俳優の舞台挨拶、トーク、ミュージック、バーチャルリアリティー体験などプログラムも豊富。今年日本からは7本の映画が上映され、濱口竜介監督、廣木隆一監督と女優の橋本愛さんらが来加する予定だ。

 

 

Mori, the Artist's Habit(モリのいる場所)

99分 監督:沖田修一

シンプルが一番

舞台は昭和49年の東京。30年間、自宅の庭をこよなく愛して、ほとんど一度も家から出たことのない画家の熊谷守一(1880-1977)。一風変わった夫妻、モリ(山﨑努)とその妻・秀子(樹木希林)の前にマンション建設の危機が忍び寄る。大切な庭を守るため、モリと秀子が選択したこととはー。ユーモアに溢れる作品で知られる沖田修一監督による、素朴で禅のようなコメディー。

9月30日(日) 4:00 PM International Village 9 
10月7日(日) 7:00 PM International Village 10

メディアスポンサー:バンクーバー新報

 

 

The Scythian Lamb(羊の木)

126分 監督:吉田大八

目の前にいる人を信じるか、疑うか

昨年『美しい星』で来加して、新報独占インタビューにて新作の話をしてくれた吉田大八監督。この作品は漫画作品の実写映画版で、今年もVIFF連続招待作品になっている。国の極秘更正プロジェクトにより、ある港街の魚深市で6人の元殺人犯が釈放された。中には凶悪犯罪者もいるため、市長や市職員の月末一 (錦戸亮)は一般市民に内緒で彼らを更正しようとする。だがある日、港で死亡事件が発生。しかもカリスマ性を持った犯罪者の一人、宮腰一郎(松田龍平)は月末の好きな女性を誘惑している…。人間が肌で感じる心理的な信頼関係を巧みに描いた作品。

10月5日(金) 9:15 PM International Village 10 
10月11日(木) 1:30 PM International Village 10

 

監督来加予定
Asako I & II (寝ても覚めても)

120分 監督:濱口竜介

好みの顔とタイプは違う?

ロマンスの基本を取り上げて実現させる、濱口監督ならではの作品。大阪で社会人になった朝子(唐田えりか)は、ワイルドでセクシーな男性・麦(東出昌大)に出会い、短時間で激しい恋に落ちてしまう。だが彼はある日上海に旅立ったまま姿を消してしまう。数年後東京に戻った朝子は、偶然にも全く同じ顔をした落ち着いた男性・亮平に出会う。安定した時間を過ごし、これで一件落着と思った矢先に麦の居場所が判明される…。カンヌ国際映画祭のコンペ部門招待作品。

9月28日(金) 4:00 PM International Village 10 
9月29日(土) 9:15 PM International Village 9

 

監督と女優来加予定
It’s Boring Here Pick Me Up (ここは退屈迎えに来て)

97分 監督:廣木隆一

憧れの彼に再会したい…

10年前に故郷を飛び出して、東京で過ごしていた「私」(橋本愛)はなんとなく地元に戻ってくる。高校時代の友人と再会して、当時片思いだった街で一番かっこよかった椎名くん(成田凌)に再会しようとする。「あたし」(門脇麦)は椎名君と付き合ったことがあるフリーター。だが未だに思い出と後悔だらけで彼をあきらめられずにいる。そしてみんなの憧れだった椎名くんは一体どこで何をしているのだろうか。廣木隆一監督による3人のロマンスが気になる映画。

10月9日(火) 7:00 PM International Village 10 
10月10日(水) 11:15 AM International Village 10

 

Mirai (未来のミライ)

98分 監督:細田守

『ボクは未来に出会った』

元ジブリでスタジオ地図に所属するアニメ監督細田守による作品で、カンヌ国際映画祭の『監督週間』に選出された映画。主人公は4歳の男児くん(声優:上白石萌歌)。くんはこれまで幸せに暮らしてきたが、ある日妹のミライ(声優:黒木華)が生まれて何もかもうまくいかない。そんな彼の前に登場するのが未来からやってきたミライ。ミライと共に冒険の旅に出たくんは謎の男(吉原光男)や先祖のじいじ(役所広司)らに出会う。

9月29日(土) 1:30 PM SFU Goldcorp
10月6日 (土) 2:30 PM Vancouver Playhouse

 

One Cut Of The Dead (カメラを止めるな!)

96分 監督:上田慎一郎

怖くて目が離せないゾンビ映画!

監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールのシネマプロジェクトから飛び出した作品で、上田監督初の劇場長編作品。ゼミナールのワークショップで企画を書き上げたにもかかわらず、国内だけでなく海外でも賞を受賞している。舞台はゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが襲来するという内容。本気で逃げる監督と俳優人やスタッフだが、一人一人本物のゾンビに襲われていく…。低予算で『早い』『安い』『質はそこそこ』?という発想で、インディーならではの楽しい作品。

10月6日(土) 10:45 PM Rio Theatre 
10月8日(月) 1:30 PM International Village 9

 

Shoplifters  (万引き家族)

121分 監督:是枝裕和

親の年金と万引きで生計した家族

世界的に知られ、VIFFでもおなじみの是枝監督による映画で、今年カンヌ国際映画祭の最高賞にあたるパルム・ドールを受賞した作品。実家で児童虐待を受けていたゆり(佐々木みゆ)が、ふとしたことから日雇い労働者の柴田治(リリー・フランキー)と妻の信代(安藤サクラ)の世話になる。だが柴田家には隠された秘密があった…。是枝監督が製作構想に10年ほどかけたという、本当の幸せについて考えさせられる映画。池松壮亮、緒形直人など脇役も豪華。

9月30日(日) 3:30 PM The Centre
10月1日(月) 6:00 PM The Centre

 

 

上映劇場

  • Cineplex Odeon International Village Cinemas (INTL)
    88 W Pender Street 
  • Vancouver Playhouse (PLAY)
    600 Hamilton Street (at Dunsmuir) 
  • Rio Theatre (RIO)
    1660 E Broadway (at Commercial)
  • SFU's Goldcorp Centre for The Arts (SFU)
    149 West Hastings Street (at Abbott)

 

VIFFチケット情報

一般:$15 /特別上映:$17 /ガラ上映:$22 
一般・平日午後5時まで:$13 
学生(18歳以上):$13 
シニア(65歳以上):$13 
子供(18歳未満、子供向けのみ):$10
学生/シニア5枚パック:$60 
6枚パック:$84 
10枚パック:$135 
20枚パック:$260 
30枚パック:$375  など

*チケットとは別にVIFFメンバーシップ$2の購入が義務付けられます。チケットは、オンライン(www.viff.org)、またはVancouver International Film Centre (1181 Seymour Street) で購入が可能です。

 

読者プレゼントのお知らせ:バンクーバー新報メディアスポンサーの「モリのいる場所」 またはVIFF上映作品がどれでも1つ観られるチケットを抽選でプレゼント! 詳しくはパート1、5ページをご覧ください

(文 Jenna Park/写真提供VIFF)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。