2016年8月4日 第32号

バンクーバー市・イーストサイドにあるオッペンハイマー公園を中心に毎年開催される日系カナダ人の夏のお祭り、パウエル祭が7月30日、31日の2日間にわたり盛大に開催された。40周年を迎えたことしは規模を拡大。さらにパワーアップされた多彩なプログラムや大人気の日本食屋台、ユニークなクラフト販売、そして恒例の炭坑節、おみこし、相撲トーナメントや武術のパフォーマンスなど見どころいっぱいで、多くの入場者を呼び寄せた。

 

バンクーバー楽一による神輿で祭りは大興奮(Photo by Miyuki Nakamura)

 

40年の歴史を持つ祭り

 かつては日本人街の中心であったこの地域で開催することに深い意味があり、誇りを持っているという主催者のパウエル祭協会(PSFS)。パウエル祭は日系カナダ人のお祭りであると同時に、メトロバンクーバーで最も歴史の長いコミュニティ・アートフェスティバルである。日系カナダ人のアートと文化を通して、コミュニティ間の橋渡しをすることができるという信念は、40年間変わらずに持ち続けてきた。

 毎年増えている来場者に対応するため、ことしは通常の会場(オッペンハイマー公園、ファイアーホール劇場、バンクーバー仏教会、ダンレビー&ジャクソン・アベニュー)に加えバンクーバー日本語学校のあるアレキサンダー・ストリートも会場となり、ステージやクラフトブースが設置された。

開会式

 7月30日、オッペンハイマー公園のダイアモンド・ステージでは、昨日までの強い日差しが嘘のように、穏やかな晴天のもと開会式はスコーミッシュ・ネーション代表のメアリー・チャールズ氏による祝福の儀式から始まった。

 そして、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事、メラニー・マーク・バンクーバー・マウントプレザント地区MLA、ジェニー・クワン・バンクーバー・イースト地区MLA、アンドレア・レイマー・バンクーバー市議会議員と落合栄一郎氏、パウエル祭協会デザインコンテストで優勝したシノブ・ホンマ氏とジェームス・ブラウン氏の来賓のスピーチ、バンクーバー・パウエル祭協会会長・実行委員会代表・コリン・チェン氏の開会の挨拶へと続いた。

 目にも涼しい水色の浴衣姿の岡井総領事は、「パウエル祭に参加している多くのアーティストが多国籍であることに感心している。日本のアートと文化が異なった文化背景を持つ多くの人達から評価されていることを大変うれしく思う」と祝辞を述べた。また、ジェニー・クワンMLAはパウエル祭協会のたゆまぬ努力を称賛するとともに、このような祭りが多文化間の架け橋となり、それがカナダの強みになると力強く語った。

盛りだくさんの内容

 パウエル祭といえば「食べ物屋台」。おいしい日本食を求めてやって来る日本人やカナダ人も多い。ラーメン、唐揚げ、トルネードポテト、たこ焼き、スパムむすび、焼きそば、コロッケ、BBQサーモン定食…と枚挙にいとまがない。敷地を拡大している分、食べ物屋台もゆとりをもって配置され、長い行列も混雑することなく受け渡しがスムーズに。「待ち時間が長いと思ったが、どの屋台もすぐに順番が回ってきた」と喜びの声も聞かれた。また暑い日には欠かせない子どもたちに人気のかき氷に加えて、チョコレートコーティングした抹茶アイスクリームや抹茶マキアートなども人気があった。

 参加型アクティビティも健在。日本のお祭りに欠かせないおみこしや相撲トーナメント、子どもたちのスイカ割りや綱引きは予約すれば参加できる。どれも「日本」らしいイベントで、写真を撮る人や多くの観客で混み合い、日本文化への関心の高さがうかがえた。

 40周年で拡張したのは敷地だけではない。各種プログラムも例年に増して豪華なラインナップとなった。音楽では、お祭りを盛り立てる各種太鼓チームをはじめとする17の個人、団体による個性豊かな演奏に多くの観客が思わず足をとめて聞き入った。そして、ダンスや武道デモンストレーションの人気は言うまでもなく、仏教会での生け花の実演やバンクーバー日本語学校での裏千家茶道や原爆展示会、ファイアーホール劇場でのイベントや映画など、両日11時半から19時まで盛りだくさんの内容で、小さな子どもからお年寄りまで楽しめる配慮がされていた。  

 

 夏祭りの楽しさ、日本の文化の素晴らしさは着実に多くのカナダ人をとりこにしているようだ。バンクーバーに住む日系人にとって欠かせない夏の一大イベントは、ことしも多くの観客を魅了し大盛況に終了した。

(取材 福安 恵子)

 

祝辞を述べる岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(Photo by Miyuki Nakamura)

 

ジェニー・クワン・バンクーバー・イースト地区MLA(Photo by Miyuki Nakamura)

 

夏祭りといえば、ヨーヨー釣り!(Photo by Miyuki Nakamura)

 

浴衣や着物の生地で作った小物は人気

 

甚平を着た子どもたちも多く見られた

 

シノブ・ホンマ氏とジェームス・ブラウン氏による作品「うろこ」を参加者の絵で飾る巨大鯉のぼりは楽しい企画!

 

クラフトコーナーで折り紙を習う子供達

 

サーモンBBQの豪快な火を見ると、食べてみたくなる!

 

とてもカラフルな和傘も祭り気分を盛り立てる

 

子供達に大人気のフェイスペインティング

 

音羽流日本舞踊会による踊りを食い入るように見る子どもたち

 

鯉のぼりのクラフトできたよ!

 

恐竜のフェイスペインティングがお気に入り!

 

鬼太鼓組による「鬼踊り」に多くの観客

 

さくらシンガーズ(Photo by Miyuki Nakamura)

 

スコーミッシュ・ネーション代表、メアリー・チャールズ氏(Photo by Miyuki Nakamura)

 

アンドレア・レーマー・バンクーバー市議会議員(Photo by Miyuki Nakamura)

 

ベリーダンス(Photo by Miyuki Nakamura)

 

香取神道流剣術(Photo by Miyuki Nakamura)

 

少林寺拳法(Photo by Miyuki Nakamura)

 

バンクーバー日本語学校生徒によるバトン(Photo by Miyuki Nakamura)

 

歩きまわるダルマ(Photo by Miyuki Nakamura)

 

彩月会の踊り(Photo by Yoshiko Nakayama)

 

祥平塾合気道カナダ(Photo by Miyuki Nakamura)

 

手を噛まれてもへっちゃら(Photo by Miyuki Nakamura)

 

手の代わりにカメラを噛んだ獅子(Photo by Miyuki Nakamura)

 

Chordophone (Photo by Miyuki Nakamura)

 

バンクーバー沖縄太鼓(Photo by Miyuki Nakamura)

 

いけばなデモンストレーション(Photo by Miyuki Nakamura)

 

ことしから始まった女子相撲トーナメント(Photo by Miyuki Nakamura)

 

スイカ割り(Photo by Miyuki Nakamura)

 

相撲トーナメント、決勝戦。圧勝したのは松本さん(右)(Photo by Miyuki Nakamura)

 

ちび太鼓(Photo by Miyuki Nakamura)

 

弓道(Photo by Miyuki Nakamura)

 

LOUD(Photo by Miyuki Nakamura)

 

綱引き(Photo by Miyuki Nakamura)

 

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