なでしこジャパン、バンクーバーに到着

 

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が、6月1日、バンクーバーに到着した。当日午後には早速練習開始。6月6日に開幕するFIFA女子ワールドカップ2015カナダ大会に向け、臨戦態勢に入った。 日本代表の初戦は、6月8日、BCプレースでのスイス戦。ディフェンディング・チャンピオンとしての戦いが始まる。

  

昨年の親善試合前日に行われた練習後の集合写真。 親善試合ということもあり、雰囲気は全体的に和やかだった。2014年10月27日、BCプレース

   

カナダ入りしてすごく興奮

 バンクーバー国際空港の到着ゲートに続々と現れた選手たちは、ロビーで待っていたファンに笑顔を見せながら、バス乗り場へと通り抜けて行った。

 佐々木則夫監督は、「カナダに入って、これから決戦かなって思いを強くしました」と、長時間フライトの疲れも見せず、記者団の質問に答えた。

 今大会は、日本が初めてディフェンディング・チャンピオンとして連覇に挑む戦い。「おごることなく、今までやってきたことの力を出せば、結果は出ると思いますので、自分を信じてしっかりと挑むだけだと思っています」と意気込みを語った。

 宮間あや選手と大儀見優季選手は、カナダとスイスの記者たちに囲まれた。連覇できるかとの問いに、「だといいと思っています」と宮間選手。グループCでは最後にカナダ入りした日本。「(日本で)慣れた環境でいい準備ができたと思います。今、カナダに来れてすごく興奮しています」と語った。

 佐々木監督は試合までに取り組むことの中に、人工芝に慣れることをあげた。日本が初戦を迎えるBCプレースは、先週新しい人工芝に張り替えられたばかり。人工芝について質問された大儀見選手は、「まだ(人工芝では)一回も練習してなくて、今回、初めてカナダで人工芝での練習をスタートするんですけど、特に不安には思ってないです」と答えた。

 

初戦はスイスと BCプレースで対戦

 グループCの日本は6月8日、BCプレースで初戦を迎える。グループの中では最も手ごわいとみられているスイスと対戦する。

 空港では、スイスのテレビ局から宮間選手、大儀見選手に質問が相次いだ。スイス代表についてどう思うかとの質問に「スイスは、ほんとに若くて勢いのあるすごくいいチーム。いい試合になると思っています」と宮間選手。大儀見選手は、「非常に力のある国だと思ってます」と答えた。

 スイス対策の練習を特別にしてきたかと聞かれ、大儀見選手が笑顔で「NO」と答えると、記者団から笑いが起こった。「いつも通り準備してきたし、いつも通りの準備をして挑めればと思ってます」と答えた。

 最後に、テレビに向かってスイスの視聴者にドイツ語でメッセージを、と言われた大儀見選手。苦笑いしながら少し考えると、テレビカメラに向かってドイツ語でメッセージを送った。スイスのリポーターは、「スイスチームへのグッドラックと、でも、日本が勝ちます」という内容だったと教えてくれた。

 

日本代表に日の丸を

 日本代表を迎えようと空港に駆け付けていたファンが、応援メッセージを書いた日の丸を佐々木監督に手渡した。

 応援メッセージは、VAJCバンクーバー日本語文化学院、コキットラム日本語アカデミー(CJLA)、それに、日本語ドラマスクールの生徒ら、約200人から寄せられた。代表して、愛莉ちゃん、陽冬くん、利恩くんの3人が手渡した。

 空港で付き添っていた、VAJC、CJLA校長の中島範昭さんと、日本語ドラマスクールの久野浩司さんは、生徒たちが一生懸命書いた応援メッセージを直接手渡すことができて感激した様子。「思ってもいなかったので、すごく嬉しい」と喜んだ。

 

「2連覇を目指してやっていく」

 バンクーバーで、なでしこジャパンの試合が見られるのは、昨年10月28日にカナダとの親善試合が行われて以来。親善試合とは異なる緊張感あふれる試合に、バンクーバーのファンの期待も高まっている。

 注目されているのは、やっぱり澤穂希選手。10月には代表として来加しなかったため、今回初めて澤選手のプレーを見られるのを楽しみにしているファンも多い。

 他にも、近賀ゆかり選手や川澄奈穂美選手など、10月の試合では控えだった選手のプレーも楽しみだ。

 昨年の親善試合で日本と戦ったカナダのハードマン監督は、試合後の記者会見で日本チームの感想を、「非常によくまとまったチーム。動きも早く、パスも正確で、アメリカやドイツとは違うタイプのチーム」と分析、「日本が女子サッカーにもたらした貢献は非常に大きい」と語った。その時に同監督が絶賛したのが、キャプテンとしてチームを引っ張る宮間選手。彼女の存在は、チームをキュッと引き締める力を持つ。今大会も、その力がいかんなく発揮されるに違いない。

 そしてエース、大儀見選手。高い得点力を誇り、世界からも注目されている。今大会に向けては、「ディフェンディング・チャンピオンとして挑める大会を誇りに思うし、当然2連覇を目指してチームもやっていくんですけど、難しい大会にはなると思うんですけど、自分たちはそれを成し遂げられる自信あると思っています」と連覇への意気込みを語った。

 

日本はバンクーバーで、 カナダはエドモントンで開幕

 6月8日、BCプレースで開幕戦を迎えるなでしこジャパン。第2戦は12日、BCプレースでカメルーン戦、第3戦は16日に、ウィニペグでエクアドール戦となる。

 1次リーグの結果次第で、決勝トーナメントで日本代表の試合がバンクーバーで行われるかどうか変わってくる。1次リーグ1位で通過すれば、決勝ラウンド1回戦は24日にバンクーバーだが、2位なら21日にエドモントンとなる。

 カナダ代表は6月6日、エドモントンで開幕、相手は中国。第2戦は11日に、エドモントンでニュージーランドと、第3戦は15日に、モントリオールでオランダと対戦する。カナダが1次リーグを1位で通過すれば、22日にバンクーバーで試合がある。

 その後、バンクーバーでは28日に準々決勝、7月6日に決勝が行われる。

 

海外メディアからも注目の的、大儀見選手

 

インタビューを終え、笑顔で記者団の前を通る宮間選手

 

多くの海外メディアに囲まれる宮間選手

 

日本の記者団の質問に答える佐々木監督

 

山根選手

 

大野選手(右)と永里選手(後方)

 

阪口選手(右)と上尾野辺選手

 

川澄選手(右)と澤選手川澄選手(右)と澤選手

 

佐々木監督に、メッセージ入り日の丸を渡して記念写真。左から、愛莉ちゃん、陽冬くん、利恩くん(写真提供:久野浩司さん)

 

鮫島選手(後ろ姿)の決勝ゴールを喜ぶ宮間選手と大儀見選手(左)。2014年10月28日、BCプレースでのカナダとの親善試合で

 

カナダのキャプテン、シンクレア選手(#12)と、菅澤選手(#22)、阪口選手(#6)。2014年10月28日、BCプレースでのカナダとの親善試合で

 

(取材 三島直美 / 写真 Sam Maruyama) 


 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。