2020年2月20日 第8号

バンクーバー国際空港にはカナダ産のさまざまなアートが展示されている。国内線ゲートのB16に6点展示されている木の彫刻は、立体の迷路のような木工作品。その風合いの温かさと造形の妙に思わず見入ってしまう人が後を絶たない。作者である日系3世のマイク・佐々木さんに話を聞いた。

 

マイク・佐々木さん近影

 

—どのように育ちましたか?

 私はオンタリオ州トロントの郊外のソーンヒルで三人の姉の下に生まれました。ドイツ系の母はオンタリオ州の出身、日系の父はブリティッシュ・コロンビア州メイン島の出身でした。私はさまざまな人種が集まる学校に通いました。母がヨーロッパ系なのでハーフでも自分がアジア人の血を引くようには見られることがなく、日系人であることを特に気にすることなく育ちました。友人に佐々木という名前の起源を尋ねられたら、「私は、半分が日本人(半分はドイツ人)です」と答えていました。日系であることは自分の成長期に大きな影響を及ぼさなかったと感じています。

—日本での体験はどのようなものでしたか?

 大学を卒業して日本に英語を教えに行ったのですが、日本に行く前に日本語を学ぶ機会がなかったので、日本では意思の疎通に苦労しました。私は東京に5年ほど住んでいました。その間、少林寺拳法に通い、人間の感覚的な、そして、エネルギーの可能性を追求しました。カトリックの信条のもとに育ったにもかかわらず、私は仏教に興味を持っていましたし、日本の芸術(庭、茶道、書道と伝統的な建築)にも親しみました。特にお花見や夏祭りはとても魅力的でした。

—彫刻家になったいきさつは?

 私が生涯、常に情熱を傾けてきたこと、それは芸術でした。デザイン学士号を提供した、オンタリオ州で最初で最大のプログラムで専門名誉学位を修得できたヨーク/シェリダンデザインを卒業後、私は日本に英語を教えに行き5年後にカナダに戻りました。フルタイムでデザインの会社に勤めるのではなく、コンピューターなどのテクノロジーから離れたことをしたかったこともあり、木彫を始めました。

 子どもの頃に父から基本は習っていましたが、仕事にするとは思ってもいませんでした。そこで、2010年に故郷に戻って木のコースターや写真立てなど小さな作品を制作しマーケットで売り始め、同時にパートタイムでバリスタとして働きました。2014年にバンクーバーに移ってきてからバリスタとしての経験をペドロズ・オーガニック・コーヒーで働いて生かしながら、グランビルアイランドのダルバージア・ウッド+ファイン・オブジェクトのフェデリコさんからウッドワーキングを習い始めました。彼のアートワークに触発され、ペルーのくるみの木の抽象木彫シリーズ3作を仕上げました。

—自身の彫刻について教えて下さい。

 私は心理学、哲学、物理学、神秘主義に深い関心を寄せており、世の中の大きな流れとしての地位や他者比較、成功に対する考え方という価値観に違和感を覚えていました。そこで、私は自分の心が導いた木彫をすることにしたことで、自分にとって正しい仕事をすることは死への恐怖やお金を失う心配を越えるほどの重要性があることを確信できました。制作に時間が掛かり、手間や品質に留意し、手仕事を施すなど。さまざまな点で一般の理想的な仕事に反するとしても、私はこの仕事を選んだのです。

 私は今の自分の木彫の仕事が気に入っているので、ずっと続けていきたいです。でも、自然発生的という私のアートの性質から、どのようなアイディアが形になっていくのかは未知ではあります。私のアートのメインテーマは、思考を基にした感覚と二重性と、完全な全体性、不可分性、統一です。私たちの住むこの世界は、ワンネス、ハーモニー、種としての愛に向かっていることから、私のアートのテーマは大切なものであると感じています。

 

 深淵な思いを秘めた手仕事である木の彫刻を制作し続けるマイクさんのこれからの活躍が期待される。

マイク・佐々木さんのウェブサイト: http://mikesasaki.com

(取材 北風かんな)

 

Mystery of Space No.2 in wood - 2019 Artwork dimensions: W 9", H 6.5", D 6"

 

Non-Local Movement No.7 in wood ー 2020  Artwork dimensions: W 6.75", H 4.75", D 5

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は今号をもちまして終了いたします。

しかし、日系コミュニティーに支援されて41 年余り続いてきた新報を存続させたいとの思いから、オンラインによるウェブサイトでの情報発信を継続することになりました。

SNS を含むオンラインは、弊紙で記者をしておりました三島直美と西川桂子が、責任者として引き継ぎ新体制で再出発する予定です。

今後も引き続き、ウェブサイトの閲覧をよろしくお願いいたします。