総領事公邸、建物の由来

1913年、当時積み下ろし業で財をなしたウォルター・ロイ・ドックリルが注文した家がショーネシーに完成した。1926年9月に日本政府はこの家を3万5千ドルで購入したが、第二次世界大戦中、カナダ政府の手に渡った後、わずか9千ドルで売却されてしまった。その後1959年に再び日本政府が5万5千ドルで買い戻したというのがこの100年の建物にまつわる経緯だ。
冒頭で岡田誠司総領事は、今年1月に寧子夫人と着任した際、数か月間空き家になっていた公邸をとても大きく感じたが、今では歴史ある建物の良さを大切に、心地良く暮らしていると述べた。

 

和食と酒をペアリング

この日の招待客はヘリテージハウス見学ツアーに協力しているヘリテージハウスの家主ほかバンクーバー・ヘリテージ財団関係者ら約100人。晴天に恵まれたこの日、公邸の中庭にはテーブルが並べられ、バンクーバーと日本の酒造の酒6種が用意された。
同財団のマータ・フェアバーグ会長の音頭で純米スパークリング酒で乾杯したあと、Artisan Sake Makerの白木正孝氏がそれぞれの酒の特徴を説明した。参加者のモーリーさんは目の前に並べられた酒テイスティングのグラスの中から「スモーキーな味が良かった」と純米樽酒を気に入った様子だった。

 

和牛をメインに12品を調理した公邸料理人の岩坪貢範氏は、日本酒に合ったメニューを考案。『酒ゼリーとバニラに梅酒』などデザートにも工夫が凝らされていた。

 

琴や尺八、獅子舞も

食後のパフォーマンスでは楽一の笛・太鼓に合わせ獅子舞が登場。成谷百合子さんと松元香壽恵さんの琴に山本実さんの尺八演奏、NAVコーラス(指揮:長井明、ピアノ:アレキサンダー恵子)の歌に岡田誠司総領事が電子サキソフォーンを演奏して加わるなど、多彩なパフォーマンスを披露。

 

着物姿の裏千家バンクーバー淡交会のメンバーが野点のデモンストレーションを行う中、抹茶が振る舞われ、出席者は日本食と酒、日本文化を堪能した

 

あたりが薄暗くなり始めたころ、歴史家のジョン・アトキン氏が総領事公邸の歴史を説明し、同財団のダイアン・スワイツァー氏がホスト役の岡田誠司総領事・寧子夫妻、酒提供各社、パフォーマーに感謝の言葉を述べ晩餐会は終了した。

 

取材 ルイーズ阿久沢

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