2020年1月1日 第1号

神奈川出身でプロのイラストレーターでありデザイナーだったひねさんは、国際結婚後に数度の海外での引っ越しを経てバンクーバーへ。ニードルフェルティングを始めてからミニチュアコラージュ、そして、現在は日本のこぎん刺しの技術を自分流にアレンジしたこぎん刺繍ブローチや海洋生物のソフトスカルプチャー作品を制作している。オンラインを介して国際的に活躍するひねさんに話を聞いた。

ミニチュアコラージュ「Playful Crafting」

 

Q1. カナダに来る前の経緯は?

 美術大学で日本画を専攻ののち、東京でイラストレーター/デザイナーとして勤務後、翻訳者のカナダ人の夫とローマ、パリ、NYに移り住み、2006年からカナダのバンクーバーに住んでいます。(https://hinemizushima.com/about-me

Q2. カナダに来たきっかけは?

 バンクーバーに来る前は、ニューヨークのブルックリンに住んでいましたが、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、グリーンカードの取得やビザの更新も容易ではなくなってしまったため引っ越しを決めました。私がとても寒がりなので、夫とカナダ国内で寒くない都市を探しました。当時、「世界で最も住みやすい街」に選ばれていたバンクーバーが良さげだったので、息子と共に引っ越してきました。人がフレンドリーでびっくりしました!

Q3. 渡加してから現在までのお仕事の経緯や現在の活動は?

 引っ越し当初はまだイラストレーターだったのですが、ある日たまたまネットで見つけた素人向けの「ストップモーションビデオの作り方」が面白そうだったので、好きなNYのバンドのパロディミュージックビデオ(相当ヘタでした)を作ってみたところ、直後にそれを見たバンド本人から仕事の依頼を頂き、それがきっかけで今のような立体作品を作るようになりました。

 バンドの2本目のビデオ制作のために、必要に迫られてニードルフェルティング(羊毛フェルト)技法を取り入れたところ、ハマってしまい、以後ずっと羊毛メインで作品を作って、主にアメリカの展覧会参加や、クライアントからの依頼仕事や、自分のEtsyオンラインショップ(www.hine.etsy.com)で販売をしていたのですが、5年ほど前にニードルフェルティングのやり過ぎで肩と上腕をひどく痛めてしまい、ニードルを続けられなくなりました。

 ちょうどその頃、趣味で作っていたミニチュアコラージュ(ビデオ制作のためにミニチュアを沢山持っていたので)でのお仕事の依頼(https://hinemizushima.com/book-cover-kazoku-theatre)を日本の出版社から頂いたのがきっかけで、だんだん他の技法や素材にも手を出せるようになりました。

 このミニチュアコラージュ技法では、去年New York Timesのカナダ向けウェブキャンペーンのお仕事もしました(https://hinemizushima.com/new-york-times-web-campaign-miniature-collages)。

 2年前母親の手術入院で急遽帰国した際、時間を持て余し何か作りたくてうずうずしていたので、こぎん刺しブローチキットを買って試してみたところ、これまたハマってしまい、すぐに自分流にアレンジしたこぎん刺繍ブローチを作り初めて、直後にアーティストの友人から東京でのブローチイベント(https://hinemizushima.com/koginzashi-embroidered-brooches-part-2)に誘ってもらい、それがきっかけにもなり今も続けて制作しています。

 去年は、そのこぎん刺繍技法で、前出のNYのバンドのミュージックビデオを作りました(https://hinemizushima.com/video-lake-monsters-music-by-they-might-be-giants)。こちらは、年末の1ヶ月間、ドイツのアート系ムービーシアターでも、音楽関係の映画プログラムの前に上映されました。

 つい最近は、表参道で1ヶ月間個展を開催しました。作品はすべてオーナーさんも決まり、沢山の方に見てもらいポジティブな反響がとても嬉しかったです。

 近年は、こぎんブローチと、様々な素材を使いながら主にフェルトを縫って制作する海洋生物のソフトスカルプチャー作品がメインで(https://hinemizushima.com/projects)、アメリカより日本の仕事が増えています。

Q4. お仕事を通して北米と日本で感じる相違点を教えて頂けますか?

 日本は手芸をやってる方の年齢層が厚く、とても多いような気がします。手芸屋さんがたくさんあり、手芸材料の質が良く安価(特にフェルト)で、便利なクラフトツールもたくさんあるので、帰国の度にたくさん買い込んでしまいます。

 色々な国のハンドメイド作品を買ったり見たりしますが、一般的に日本の方は器用で仕事が丁寧だなと思います。ただし、すごく丁寧に時間をかけて作っているのに価格が安すぎでは?といつも思ってしまいます。

 装飾リボンやチロリアンテープやボタンなどの素材は、バンクーバーに良いお店が1軒あり、種類も多く安いです。毛糸も手染めや手紡ぎの良いものが手に入りやすいです。

 12年近くEtsyオンラインショップをやっていますが、以前はアメリカのお客さんがほとんどだったのですが、最近は日本の方のほうが多くなってきています。カナダは、アメリカに比べるとEtsyのショップ数もとても少なく、私のお客さんもカナダの方はごく少数です。

Q5. これからのお仕事面での抱負をお聞かせ頂けますでしょうか?

 とにかく糸や毛糸の素材が大好きなので、西洋刺繍やニードルポイントやパンチニードルもできるようになりたいです。色々な素材や技法を知ることで、結果的に表現の幅も広がってくるので面白いです。展覧会のための作品制作も増やしていくと同時に、オリジナル雑貨も販売していきたいです。

Q6. バンクーバー新報の読者に一言お願い致します。

 よろしければ、私のInstagram: @sheishine をフォローして頂けると嬉しいです!作品写真を沢山載せています。

水島ひねさんのウェブサイト: www.hinemizushima.com

(取材 北風かんな/写真提供 水島ひねさん)

 

個展に出品したソフトスカルプチャー「子蛸とゴマフチンアナゴ」

 

個展に出品したソフトスカルプチャー「解剖錦鯉」

 

こぎん刺繍ブローチ

 

仕事部屋でキノコ作品を持つ私

 

仕事部屋の机と猫

 

作業中の私

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。