2019年7月25日 第30号

 昨年3月29日付け本紙で紹介した同氏の英文長編小説 「The Return of a Shadow」が、今年度の Rubery Book Award の小説部門で最終選考入りを果たした。この賞は英国に本部を置く国際的に由緒ある文学賞で、独立系出版社などから出版された小説、ノンフィクション、詩集などを対象に毎年5部門にわたって受賞作を決定する。同書の出版社は、「この賞には数千の作品が寄せられ、最終選考に残っただけでも非常な名誉」とコメントしている。

 

作者の山岸さん

 

 同小説は、ブリティッシュ・コロンビア州にあった日系人強制収容所を経験した一日本人移民が、日本に残した家族に43年間送金を続けた後帰国するも、家族の拒絶に会い、再びカナダに戻る設定で、第3部で、主人公が家族の理解を求めて強制収容の内容を事細かに物語る展開となっている。作者自身、強制収容所の生存者4人にインタビューを行い、また小泉麻耶氏が30巻以上の収容所生存者とのインタビュー・テープを提供、その一部が作品の中に取り入れられている。山岸さんは、近年米国及びEU諸国で人種差別を標榜する極右勢力が台頭している折、人種差別の悲惨さを訴えたこの小説の出版は時宜を得たものであった、と語る。ちなみに,同氏はこの作品の完成に10年を費やしており、長い格闘の末の快挙と言える。なお、受賞は逸した。

 現在、山岸さんはソ連及びユーゴスラビア連邦の崩壊を背景とした本格的な英文小説を執筆中で、脱稿は二年後の予定。

 8月3日及び4日、パウエル祭において作者著名入りの本が展示・販売される予定。

(編集部)

 

山岸さんが執筆した本 「The Return of a Shadow」

 

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