2019年1月1日 新年号

カナダで2018年10月17日に嗜好品としてのマリファナ(大麻)使用が合法化された。これまでも医療用としての使用は認められていたが、今回の合法化で誰でもがマリファナを購入、使用できることになった。

あれから2カ月以上が過ぎたが、これまでのところ特に大きな混乱や問題は起こっていない。アメリカではすでに州によっては合法化されているところもあり、北米ではマリファナ合法化の流れは今後も続くだろうともいわれている。

それでも国として合法化したのはカナダが世界で2番目。先進国では初となる試みに世界からも注目を集めている。

ただ初の試みということで分からないことも多い。今回はカナダのマリファナ合法化の概要と注意点などを紹介する。

 

 

マリファナが 合法化された理由

 連邦政府がマリファナを合法化した理由は、子供たちの手からマリファナを完全に引き離すこと、非合法なマリファナ売買による資金の闇市場への流れを断ち切ること、合法化することでマリファナ売買による利益に課税し市場を健全化することがあげられている。

 特に合法化することによって、子供たちがマリファナを購入できないよう、厳しい罰則を購入する側だけではなく販売する側にも科し、ティーンエージャーなどの若い世代をマリファナから守ると強調している。

 

各州によって異なるマリファナ規則

 マリファナの合法化を決定したのは連邦政府だが、使用年齢、使用場所、販売方法などの詳細な規則については各州政府が独自に設定できる制度となっている。

 まずは基礎的な規則を紹介しよう。

連邦政府の設定

 連邦政府は、使用年齢…18歳以上、個人用の栽培…一世帯4鉢まで可、運転中の使用とマリファナ使用直後の運転を禁止としている。さらにマリファナの国外への持ち出しはもちろん、海外からの持ち込みも禁止している。これ以外の細かい規則の法整備は州政府に一任。各州政府が独自に設定している。

ブリティッシュ・コロンビア州の規則

 合法化前からマリファナの街として知られていたバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州。全国の州・準州の中では最も規則が緩い州の一つ。合法化後にはさらにマリファナが蔓延するかと思われたが、今のところ街は合法化前とほとんど変わらない。特に街中でマリファナ使用者が増えたという印象は受けない。

 BC州の場合、使用規則はアルコールとほぼ同じ。

● 使用年齢…19歳以上

● 販売方法…州政府管轄販売店、州政府公認民間販売店(販売許可証はBC州政府と管轄する市の両方が必要)、インターネット販売。現在までのところ、BC州内でオープンしている公認販売店はカムループス市にある1店舗のみ。その他でオープンしている店は違法販売ということになる。しかし州政府は合法化されたからといって違法販売店の一斉取り締まりを行うことはしないと発表、自主的に閉店し許可が下りるまで待つよう呼びかけている。一斉取り締まりを行わない理由として、合法化後に供給が需要に追いつかないということがあり、需要と供給のバランスが取れるまでは自主的閉店を促すとしている。

 州政府管轄オンラインショップは10月17日午前0時にオープン。現在もオンラインでの購入は可能、ただし人気商品は在庫切れとなっていると発表している。

 州政府は2019年から順次店舗の開店数を増やしていくとしている。

 また、18歳以下は販売店への入店も禁止している。

● 喫煙場所…たばこの禁煙指定場所、子供が多く集まる場所、自動車の中、これ以外の場所での喫煙は可。賃貸住宅での喫煙は貸主が決定。

 自動車の中とは運転中、停車中にかかわらず、車中での喫煙は禁止となっている。

 バンクーバーでは最近、警察による検問が実施されマリファナ使用者の取り締まりが行われた。警察の発表によると合法化前よりも使用者が増加していたという。

● 個人栽培…可。一世帯4鉢まで。外から見えないようにすること。賃貸住宅などは貸主が決定。

 

その他の主要州の規則

  アルバータ州

● 使用年齢…18歳以上 ● 販売方法…州政府公認民間販売店、インターネット販売

● 喫煙場所…たばこの禁煙指定場所、子供が多く集まる場所、自動車の中での使用は禁止。これ以外の場所での喫煙は可

  オンタリオ州

● 使用年齢…19歳以上

● 販売方法…インターネット販売のみで開始。2019年4月以降に民間販売開始予定

● 喫煙場所…個人所有の土地のみ。賃貸などの集合住宅については所有者が決定

※オンタリオ州ではトロント市とオタワ市で民営の販売店が2019年春以降にオープンすることが12月に決定した。

  ケベック州

● 使用年齢…18歳以上。

● 販売方法…州政府管轄販売店、インターネット販売

● 喫煙場所…たばこ喫煙可の場所のみ。ただし大学構内はこの規定を免除

※ケベック州では12月に使用年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる法案が議会に提出された。同時にこれまで喫煙場所をたばこの喫煙場所としていたが、公園や通りなどを含む公共の場所での喫煙を禁止すると変更することも検討している。

 

日本政府の呼びかけ

 カナダでのマリファナ合法化を受け、日本政府は安易に手を出さないよう注意を呼びかけている。

 以下は在バンクーバー日本国総領事館ウェブサイトに掲載された注意喚起文。同様の注意喚起文は同領事館に在留届を提出し、メールアドレス登録している在留邦人にもメールで送信されている。

 

カナダにおける大麻の合法化について

平成30年10月4日掲載

本年6月21日に成立しました「カナダにおける大麻に関する法律」が10月17日より施行されることに伴いまして、邦人の皆様に対し以下の注意点について改めてお知らせいたします。

1・カナダでは、本年(2018年)10月17日から、大麻(マリファナ)の所持・使用が合法化されます。

2・一方、日本では大麻取締法において、大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ、処罰の対象となっています。

3・この規定は日本国内のみならず、海外において行われた場合であっても適用されることがあります。

4・在留邦人や日本人旅行客におかれましては、これら日本の法律を遵守の上、日本国外であっても大麻(大麻を含んだ食品・飲料についても同様)に手を出さないように十分注意願います。

 

バンクーバー在住の親の対応

 マリファナが合法化されたことで、18歳以下の子供を持つ親の対応も難しくなっているようだ。

 ここでは13歳から18歳までの子供を持つ親の声を紹介する。

・カナダで合法化されたことで、飲酒、たばこ同様に、親であるわたしから合法年齢に達した後に絶対だめ、禁止とは言えないと思っている。

・ただ日本では、服用、所持だけではなく、うっかり何かのきっかけで服にマリファナの粉がついていたということでもあれば、逮捕されかねないという事情をよく知っておいてほしい。

・そこまで人生を棒に振る可能性のあるものであるから、日本国籍を持つ私の子たちには、カナダの他の人たちとは違う態度でマリファナに接してほしいと思う。

・実際問題として、高校生の間でもマリファナをやっている生徒が多いと聞いている。私は、年齢は関係なくマリファナには反対。一人は23歳ですが、(合法化年齢が)19歳を理由にはしていません。

・何も好んで、健康への害がまだまだ分からないことをするべきではないという話をしている。

・15歳と18歳の子供がいますが、特に家庭内では教育といったほどのことはしていません。

・機会があると、例えばニュースでそういう話題が出たときなどに「使ってはダメ、買うのもダメ」ということは話しますがその程度。

・17歳と15歳がいるが、やってはいけないと言われれば言われるほど好奇心を持ってしまう年齢だと思うので、「マリファナは吸ってはいけないもの」という認識を与えるような教育はしないようにしている。

・現年齢では違法なのでもし学校で友人などに勧められたら断るように注意しないといけないが、19歳を過ぎたら、吸わないに越したことはないが、本人の意志を尊重したい。特別マリファナに対して心配はしていない。

 

 以上、カナダでのマリファナ合法化に関する現時点での状況を紹介した。今後も販売店が増加したり、州規則が変更されたりすれば状況が変わる可能性もある。マリファナ合法化にどのように対応するのか。これからカナダに生活する、カナダを訪問する人々がそれぞれに考えて行動しなければいけないことだけは確実といえる。

(取材 三島直美)

 

 

 

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