2018年11月15日 第46号

在バンクーバー日本国総領事館総領事に羽鳥隆氏が11月8日着任した。同日にバンクーバーに到着、11日には第1次世界大戦以降戦没した日系カナダ人を追悼するリメンバランス・デーの式典にも参加した。 到着して早々、夫妻でバンクーバーの街を探索。人が親切で楽しい街という印象を受けたという。

バンクーバー総領事館は来年開館設立130周年と節目の年を迎える。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。日本とブリティッシュ・コロンビア州で大きなイベントが控える中で、総領事としての役割、抱負、趣味などについて、11月13日にバンクーバー総領事館で話を聞いた。

 

在バンクーバー日本国総領事館総領事羽鳥隆氏。2018年11月13日

 

日本とBC州の経済関係について

 前任地の韓国大使館では経済公使、「経済の責任者」として日本と韓国の経済活動の支援をしてきたという。韓国の関係部署との連絡や交渉、日本企業の韓国での支援などを担当したと説明した。韓国語が流ちょうで公使として頼りにされたという。

 バンクーバー総領事として着任しても、こうした姿勢は同じと話す。この日は午前中に早速、ブリティッシュ・コロンビア州ブルース・ラルストン雇用貿易技術大臣と面会し、BC州内での日本企業の活動などを話した。「結構いろいろなビジネスチャンスがまだまだ残っている感じがします」と言う。「日本企業の皆さんともいろいろと話をしながら」ともにBC州で日本企業の活動を盛り上げていければ、さらに大きな成果が期待できると思うと語った。

 東京五輪開催も控え「全体的に日本政府としてより多くの外国人観光客に訪日していただきたいですし、カナダの皆さんに日本の魅力を発信していくことは、当然やっていかなくてはと思いますね」。

 

日系社会の中での総領事館の役割

 長年滞在している在留邦人が多いバンクーバーだが、日系社会とのつながりが強いという特徴も持つ。そうした独特の日系社会の中で、これまでの歴史を積み重ねてきたバンクーバー領事館の総領事として赴任したことについても「いろんなことを一緒にやっていきたい」と話す。

 ハワイ領事館に勤務していた時の経験を語り、日系人にも1世から日系を意識しない4世、5世の世代までさまざまと語る。そうした中で領事館として各団体単位で話をしたり、また個別にいろいろと話を聞いたりしたいと積極的。「カナダの市民として受け入れられるというご苦労をされたので」とカナダ日系人の持つ歴史を踏まえながら、日本を押し付ける形ではなく、日系人コミュニティが総領事館に何を求めているのかを話し合いながら、さらにいい関係を構築していきたいと語った。

 バンクーバーに赴任する前には、映画「バンクーバーの朝日」を観たという。戦前バンクーバーに存在した日系人野球チーム「朝日」をモデルに日本で制作された映画だ。「ちょっと観ておかないとと思って」と前置きして、「面白かったのは、自分たちが工夫して、自分たちなりの野球でカナダの一般の野球ファンの気持ちを捉えたというところ」と言う。自身はサッカー好きと語る。「日本人に適したチーム作りっていうのが、すごく印象的でしたね」と笑った。

 

趣味はエレキギター、 ロックバンドをバンクーバーで組みたい

 毎回恒例の総領事の趣味についてたずねると、まずは「ゴルフです」と語った。韓国でもプレーしていたが、料金がかなり高かったという。それに比べると「安くできるというので楽しみにしています」と笑う。

 しかし、それ以上にうれしそうに語ったのがロックについてだった。「私は音楽が好きで、音楽と言ってもロックなんですけど、エレキギターを弾くんです。3本持っていて。船便でこちらに来ている途中なのでそれからになりますが、公邸で練習して、カナダの方でも日本の方でも一緒にできる人を見つけて、バンドを組みたいなと思っているんです。インタビュー(記事)に載せていただくと誰か手を挙げる人がいるかもしれない」と笑った。

 

多くの人の意見や声を聴かせてもらいたい

 2019年にはバンクーバー総領事館開館設立130周年を迎える。日本ではラグビーワールドカップが開催され、2020年には東京五輪と、大きなイベントが目白押しだ。そんな中で着任したバンクーバー総領事として、とにかく多くの人と話をして意見や声を聴きたいと語る。

 「バンクーバーに来て素晴らしいという印象を改めて強く持ちましたし、そう聞かされても来ました。ここでの生活を楽しみながら、皆さんからいろんな話を伺ってご意見をいただければと思いますし、直接お話しする機会もあると思いますので、ぜひみなさん声を聴かせていただきたい」。

 そして、日本とBC州、ユーコン準州、また日本とカナダとの関係がさらに発展していくために、一緒になって盛り上げていきたいと抱負を語った。

(取材 三島直美)

 

羽鳥隆総領事略歴
1986年4月外務省入省、地位協定課・日米安全保障条約課、北東アジア課などを経て、2002年6月在ホノルル総領事館領事に就任。2005年4月在韓国大使館一等書記官就任後、2008年8月から外務省で国際情報・原子力関連部署などで勤務、2015年9月在韓国大使館経済公使。早稲田大学法学部卒業。1961年5月24日生まれ、東京出身

 

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