2018年9月27日 第39号

混声合唱団『さくらシンガーズ』(音楽監督・指揮者:ルース鈴木先生)の定期演奏会が9月23日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市内のマイケルJフォックス・シアターで開かれ(メディアスポンサー:バンクーバー新報)、過去の団員、合唱関係者や家族や友人など約350人が組曲、外国歌曲のメドレー、日本の新旧の歌を楽しんだ。

 

さくらシンガーズ(中央が音楽監督・指揮者のルース鈴木先生、左端がピアノ伴奏者アンジェリーク・ポさん)

 

48年の歴史

 日本から新移住者が増え始めた1970年、JCCA傘下の混声合唱団が発足し、ルース鈴木先生が歌の指導を始めてから今年で48年。青地に桜模様の着物姿の女性19人、黒の蝶ネクタイの男性8人が舞台に並び、冒頭で役員のジョイス・カミクラさんが「お稽古は毎週2時間ずつですが、鈴木先生が長年熱心に指導・貢献してくださいました。鈴木先生こそが、さくらシンガーズそのものです」と挨拶すると、大きな拍手が沸いた。

 

組曲を完成

 2年前の定期演奏会で発表したのが、作曲家・松下耕の組曲『水脈速(みをはや)み』だった。全4曲をマスターして発表することを目標としてきた今回の演奏会。

 最初の3曲『たゆとう国々』『その土地』『野薔薇ではなく』は平和への希求を詩に託したもの。最後の1曲『水脈速み』には作詞者、山崎佳代子による望郷の念が込められ、カナダの地で日本の歌を歌う団員たちにも通じるところが多かったようだ。

 「この組曲は前半は日本的で途中から西洋のハーモニーに移っていき、不協和音もあります。団員たちの熱心さと努力で、新しい形式と和音を一生懸命勉強しました」と、終演後にほっとした表情の鈴木先生が感想を述べた。

 ピアノ伴奏者アンジェリーク・ポさんの独奏『アンダルーサ(祈り)』で始まった第2部。黒いドレスにピンクのショールをまとった女性団員が副指揮者の中堀忠一さんの指揮で『ロマンチストの豚/さびしいカシの木』『小鳥の旅』を、かろやかに楽しそうに歌った。

 『ロンドンデリーの歌』(イギリス)、『ローレライ』(ドイツ)、『サンタ・ルチア』(イタリア)など、世界中で愛されているなじみのあるメドレーが心地良い。最後は観客も一緒に懐かしい日本の歌『ふるさと』『もみじ』を合唱した。

 

気分一新

 日系コミュニティでのイベント出演や老人ホームへの慰問など、48年間の活動を称えるように、会場にはコミュニティの長老ともいえるゴードン門田夫妻、林光夫夫妻らの姿もあった。

 20年来の団員ジョイス・カミクラさんが今回のコンサートで引退した。寂しくなる反面、中村みゆきさん、与那覇さつきさんなど新しいメンバーも加わった。李知子さんが女性のアルトをまとめてきたように、パート練習に励むグループもいる。

 「気分一新して、また次の目標に向かって練習に励んでいきたいと思います」と中堀さんは話している。

 さくらシンガーズでは男性・女性団員を募集中(トライアルも可)。

問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.まで。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

音楽監督・指揮者の ルース鈴木先生

 

カナダの多民族社会に日本の歌を紹介することを中心に、コミュニティのイベント出演、シニアホームへの慰問など幅広く活動するさくらシンガーズ

 

副指揮者の中堀忠一さん

 

20年来の団員ジョイス・カミクラさんが、このコンサートを最後に引退

 

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