2018年6月21日 第25号

6月10日、BC州サレー市のギルフォードパーク・セカンダリースクールのカフェテリアで、サレー日本語学校の学習発表会と卒業式、そして創立40周年記念式典が行われた。生徒、保護者、関係者、約100人が集まり、祝賀ムードいっぱいの晴れの日であった。幼児科から始まった学習発表会は、それぞれのクラスで、生徒の手作りの小道具を用い、練習の成果を遺憾なく発揮。今年は、中学科の卒業生が2名、次へのステップに向けて決意を述べていた。

 

学習発表会出演者全員集合。保護者もわが子の撮影に大興奮

 

●各クラスの名称にもサレー日本語学校の独自性が

 1978年に創立以来、独自の教育方針を持ち40年の歳月を刻んできた。例えば、クラスの名称も「ももぐみ、さくらぐみ」「基礎科」「継承語科」そして、社会人を対象にした「会話クラス」や、「親子で楽しむ2歳児クラス」を設けるなど、サレー日本語学校独自のクラス編成。生徒一人一人の年齢や環境に配慮した日本語教育を行っている。

 また、特筆すべきは、起立、礼などのあいさつを大切にし、幼児科から「ありがとうございます」がきちんと言えるように指導している。目をつぶって手をひざに置き、良い姿勢で数を数えたり、スナックタイムの前には全員で『うさぎ』、『どんぐりころころ』など、今月の歌を歌う。こうしたことは、「日本語だけでなく、文化も教えてほしい」という保護者からの要望に応えたもの。

 創立時、最初の校長を務めたトルーデル嘉津子さんが、来賓の挨拶のなかで述べていた「保護者、生徒、先生のトライアングルで、マナーや国際的に通用する人間づくりを目指してほしい。保護者の方々も5年後、10年後を見据えてご協力をお願いします」という言葉に、参列していた保護者たちは、大きく頷いていたのが印象的だった。

 

●日本語、日本文化の知識が必ず身につくことを当校の先輩たちが証明している

 創立40周年記念式典に来賓として参列していた先輩保護者からの「私の息子もここサレー日本語学校の卒業生ですが、日本語ができるバイリンガルの強みで、大手のアメリカ企業に勤めています」といった数々の報告は、式典参加の生徒、保護者に心強いメッセージとなっていた。しかし、現地校での勉強、宿題、テスト、習い事などをしながら週1回とは言え、日本語学校に通い、日本語の宿題もこなすというのは、並大抵のことではないと推察できる。当校校長の岡本香織さんが挨拶のなかで述べていた言葉が、痛切に物語っている。「生徒たちが英語圏のなかで暮らし、成長するにつれ日本語を継続して学ぶ難しさを毎年身にしみて感じ、気持ちが萎えそうになることもありました。それでも私が、校長として1996年から今日まで続けてこられたのは、保護者の方たちのご協力と先生たちの教育にかける情熱と慈愛の精神があったからです。それは、今も昔も変わらず、受け継がれており、保護者が変わり、先生が変わっても、この精神は受け継がれていくものと信じております」。この日が、岡本香織先生の校長としての最後の日で、新任の校長としてウィルズドン一葉先生にバトンタッチされた。

(取材 笹川 守)

 

クラス発表会の最初の出演者は、ももぐみ・さくらぐみのみなさん

 

GReeeeN(グリーン)の「キセキ」を歌い演奏する基礎科2。日本語の先生をする日本の学生ボランティアも特別参加

 

中学科を卒業、チュウ ジェシカさん(左側)ズコゥスキー ガヴィン君(右側)

 

ねこのイラストも上出来。基礎科1の「ねこ」のお話発表

 

サレー日本語学校創立時の校長を務めたトルーデル嘉津子さん

 

感謝の言葉を述べるサレー日本語学校・校長の岡本香織さん

 

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