実行委員会から震災のために寄付
コミュニティのイベントとしてすっかり定着した日系コミュニティ合同新年会。午後5時の開場とともに、日系センターのイベントホールでは、あちらこちらで新年の挨拶が交わされた。
今年は開催数日前にチケットが完売した後も問い合わせがあったことから、実行委員とボランティアが最終的なテーブルの調整、席割りに奮闘したという。前夜に降った雪も止み、当日は約210人が出席し、過去最大の合同新年会となった。
はなもフローリストによるフラワーアレンジメントとバンクーバー日系ガーデナーズ協会による門松が飾られ正月ムードいっぱいの舞台で、福島竜・大和奈緒美両司会者が司会進行を務めた。冒頭で実行委員長のエリック束川氏が「15年前、コミュニティをまとめることを目的に約100人で合同新年会が始まりました。幸いなことに、今まで赤字が出たことはありません(笑)。12月には震災のための募金として、合同新年会実行委員会から2000ドルを寄付することができました」と報告すると会場から拍手がわいた。

日本とカナダの強い絆
ナショナル日系博物館・ヘリテージセンター(NNM&HC)理事長の夏原クレイグ氏、バーナビー・ニューウエストミンスター地区MLAのピーター・ジュリアン氏(欠席のためメッセージのみ)、バーナビー・エドモンズ地区MLAラジ・チョーハン氏の挨拶に続いて壇上に立った在バンクーバー日本国総領事伊藤秀樹氏は、まず実行委員やボランティアに感謝の言葉を述べた。震災後、総領事館に多くの義援金が寄せられたことから、改めて日本とカナダの友好関係、強い絆を確信したと話し、日系コミュニティへ感謝の意を表したあと、乾杯の音頭を取った。
総領事館からは乾杯用の日本酒が振舞われ、伊藤総領事ほか、篠田欣二首席領事、池田洋一領事、高橋章領事が来賓として出席した。

琉球旋律と太鼓の演舞
煮しめ、数の子昆布、飾りかまぼこ、紅白なます、黒豆や田作りなどのおせち料理を楽しみ、紅白餅入りのぜんざいでお腹がいっぱいになったところでエンターテイメントがスタート。
沖縄県友愛会琉球太鼓のメンバーたちが、黒をベースに鮮やかな青や黄、赤を取り入れた民族衣装でりりしく登場した。大太鼓、小太鼓を叩き、沖縄三味線・三線(さんしん)を弾きながら、琉球古典音楽で正月の定番曲『瀧落菅撹(たきうとぅしすがち)』を皮切りに、沖縄独特の琉球音階を取り入れた『島唄』、沖縄民謡『スーリ東(あがり)節』、そして手や足を高くあげて踊るエイサーの代表演舞曲『ミルクムナリ』の全4曲を演舞した。
中でも沖縄戦による哀しみを描いた『島唄』では、力強い踊りとともに平和を求める歌声がドラマティックに場内に響き渡った。

50・50ドロー売り上げも過去最高
日系女性起業家協会による50・50ドローでは過去最高の1720ドルを売り上げ、半額がNNM&HCに運営資金として寄付され、残り半額は抽選でお年玉賞品として現金が4人に、ひとりにはJTBインターナショナル社からの寄付によりカナックスチケット2枚1セットが当たった。
最後に合同新年会副実行委員長、林光夫氏のあいさつで締めくくり、合同新年会は盛況のうちに終了した。
(取材 ルイーズ阿久沢)

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