2017年10月19日 第42号

9月27日、在バンクーバー日本国総領事館で「ワーホリ・学生向けトラブル相談ワークショップ」が開催された。

 

開会の挨拶をする岡井総領事

 

ワークショップの目的

 ワークショップは岡井朝子在バンクーバー日本国総領事の挨拶によって開会した。総領事館によると現在バンクーバーを中心に約4万人いる日本人の中、約1万人がワーキングホリデーで滞在する人たち(以下、ワーホリ)と留学生である。バンクーバーは比較的安全と言われているが、実は凶悪犯罪率は日本より高く、ワーホリや留学生がカナダに来て遭遇するトラブルも後を絶たない。命に関わる事件ではなくても、言語の壁や習慣、価値観の違いによってトラブルに遭遇することもある。日々、領事館だけではなく、バンクーバーの日本人向けの情報誌、留学エージェンシーに相談事が舞い込んでいる。ワーホリと留学生たちが遭遇するトラブルには一定の傾向があるため、トラブルを未然に回避するための注意事項を発信したいとして始まったのがこのワークショップである。第1回目となる今回は、よくあるトラブルとして、住居関係と雇用に関するものが取り上げられ、それぞれの解説者として専門家が招かれた。

 

住居に関するトラブル回避

 まず、住居については、ブリティッシュ・コロンビア州 Residential Tenancy Branchからバストン千代さんが解説した。住居は契約段階でのトラブルが一番多い。言葉の壁により、契約の細かい部分を理解していなかったり、初めての海外で足元を見られ、退去時に理不尽な請求をされることがある。バストンさんはまず、借家人と大家が持つ義務と権利の説明をしつつ、これを把握すれば多くのトラブルが回避できる、と語った。契約時に契約書や敷金の領収書を必ずもらうこと、それらの書類を渡してくれない大家もいるので、携帯で写真を撮っておくこと、退去するときには契約書に従い書面で告知すること、点検レポートの記入は念入りに行うことなど、具体的な助言があった。どうしてもトラブルになった場合は簡易裁判も起こすことができ、その方法も説明された。

 

雇用に関するトラブル回避

 次に雇用に関してであるが、悪徳な雇用主により、BC州の定めた労働法に違反する条件で雇用をされていたり、不当に解雇されたり、休みももらえずこき使われるといった事例がある。解説者として弁護士のパジランデー氏が招かれ、通訳の浜川さんを通してBC州の労働法の説明があった。まずパジランデー弁護士は、労働者の権利の説明から始めた。現在の最低賃金、時間外労働の手当て、休憩の保証などの説明をした。次に退職及び解雇事由の原則(労働者が自由に退職できる権利と雇用者が自由に解雇できる権利)、雇用基準法外の管轄(労災、セクハラ、人種、性別の差別など)の説明があった。そしてこれらに違反があった場合、どのような手順で対処すればいいかなど丁寧な説明があった。

 

これからのトラブル相談ワークショップ

 もちろん言語の壁、習慣や価値観の違いから来るトラブルはこれ以外にもたくさんある。総領事館ではテーマを設けて、こういったトラブル回避のワークショップを今後も開催するとのこと。総領事館はこういった情報をワークショップに参加した人たちだけでなく、より多くの人に知ってもらいたいと考えている。バンクーバーを中心に発行される日本語情報誌やウェブサイト、留学エージェンシーと協力して、より広く周知するための取組みを強化する方針だという。ワーキングホリデーでならば1年、留学生でも数年しかカナダに滞在することはできない。その期間、皆が少しでも安全で快適に過ごせることを望んでいる。

(取材 榊原理人)

 

賃貸に関するトラブル対処法を解説するバストン千代さん

 

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