2017年10月12日 第41号

10月6日と7日の2日間にわたり、バンクーバーで初の国際レベルのコンクール『バンクーバー国際音楽コンクール』(VIMC)がブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)内音楽学部で開催され、中国およびバンクーバーでの予選ほかビデオ審査を通過した約115人がピアノ、弦楽器、声楽部門の決勝で演奏した。

8日にはUBC内のチャン・センターで表彰式とガラコンサートが開かれ、弦楽器部門でシアトル在住の高校生、田口拓実さん(16)がグランプリ優勝、日本から参加した千葉まりんさん(18)が金賞、千葉れのんさん(20)が銅賞(ともにピアノ部門)、当地在住の庄司蛍乃佳さん(15)が弦楽器部門で銅賞を受賞した。

 

UBC内のチャン・センターで表彰された入賞者、審査員、実行委員会のみなさん(撮影:O.K. photo)

 

千葉まりんさん、千葉れのんさん

 日本から決勝に臨んだ千葉まりんさんは宮城県仙台市の常盤木学園高校3年。姉の千葉れのんさんは東京音楽大学ピアノ演奏家コースで学んでいる。ふたりともヨーロッパ国際ピアノコンクールin Japan全国大会金賞、ショパンコンクールinシャファルニア(ポーランド)銀賞ほか、多くのコンクールで入賞し、ミラノ、パリ、ニース、ワルシャワ、シャファルニアでの演奏経験を持つ実力派である。

 今回、まりんさんがヤング・アーティスト部門金賞、れのんさんがアーティスト部門銅賞を受賞し表彰された。

 ともに来加した祖母の平間百合子先生は、日本ピアノ指導者協会(ピティナ)指導者賞20回、ショパン国際ピアノコンクール指導者賞を連続4年受賞など指導暦35年。姉妹が2歳のときにピアノを教え始めた。「素晴らしいコンクールでの経験がモチベーションにつながり、さらに努力してほしいと願うばかりです」と喜びを語った。

 

シアトルから田口拓実さん

 弦楽器部門ではハープ奏者の庄司蛍乃佳さん(15)が、ヤング・アーティスト部門で銅賞を受賞。入賞は逃したものの、セガール海くん(13)が、カナダ人作曲家マイケル・コンウェイ・ベイカーの『チェロとピアノのためのバラード』を選択しチェロで演奏した。

 グランプリ優勝し賞金1500ドルを手にした田口拓実さん(16)はアメリカで生まれ、2歳からヴァイオリンを始めた。昨年メニューイン国際コンクール(イギリス・ロンドン)のジュニア部門(16歳未満)でセミファイナルに進出するなど、すでに注目のヴァイオリニストだ。ガラコンサートでは『カルメン幻想曲』(ワックスマン)をドラマチックに演奏し、大きな拍手を浴びた。「バンクーバーで演奏できて、とてもいい経験になりました」と話している。

 

素晴らしい歌唱と演奏

 カナダ国際アーツ&ミュージック・ソサエティが、カナダ建国150周年にちなみ企画したこのコンクールにはカナダ、中国を中心に、香港、韓国、日本、アメリカ、ポーランド、台湾から約300人の応募があった。

 「予想以上の参加者があり、国際都市バンクーバーにふさわしいイベントを開催することができました。シカゴから芸術監督としてピアニストのアレクサンダー恵子さんと、シカゴ交響楽団社長のジェフ・アレクサンダー氏を迎えたほか、多くの方の協力を得て開催できました」と実行委員長のリン・リウさん。

 高度な技術と芸術性を兼ね備えた入賞者による歌唱と演奏で締めくくられたガラコンサートは、音楽ファンに感動と喜びを与えた。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

(左から)バンクーバー国際音楽コンクール芸術監督のアレクサンダー恵子さん、グランプリ優勝した田口拓実さん(弦楽器)とルーカス・ミコライチックさん(ピアノ)、実行委員長のリン・リウさん

 

(左から)ピアノ・アーティスト部門銅賞の千葉れのんさん、祖母でピアノ教師の平間百合子先生、ヤング・アーティスト部門金賞の千葉まりんさん

 

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