今回のワークショップは乳がんの早期発見の大切さを普及することを目的としたもの。まず、一般公開されている公共機関の刊行物の中から基本的な乳がんの知識について説明がなされた。乳がんの発生率はカナダでは9人に1人、日本では20人に1人ということだが、日本でもその数は増えつつあるという。早期発見されることによって乳がんの生存率は高くなり、カナダでは5年生存率が88%、またBC州だけを見ると91.8%という。この数字からも早期発見がいかに大切かが分かる。現在、乳がんの早期発見の方法としてマンモグラフィーを受けることが奨励されている。この検査では9mm~18mmというかなり小さなサイズのしこりを発見することが可能だという。この検査以外にもセルフチェックを定期的にすることも大切、ということでその方法についても簡単な説明があった。普段の状態を知っておくことで、ちょっとした変化や異常にも気がつきやすくなる。しかしセルフチェックで確認できるサイズは一般的に25mm~35mmとされることから、医師による定期検診と併せてマンモグラフィーも定期的に受けたほうがより安心だといえる。


マンモグラフィー検査の流れを説明したビデオを見た後は、こんにゃくを使って実際にしこりを体験してみることに。2人1組になって、こんにゃくを人差し指、中指、薬指の3本を使って押してみてしこりを探す。やってみると意外と難しい。大きめなしこりは簡単に見つかるのだが、小さいものはなかなか分からない。セルフチェックだけでは確かに不安だなぁ、と感じた。参加者もそれぞれこんにゃくを押しながら「これかな」と半信半疑になりながら探している様子が伺えた。ワークショップ終了後には、医療用模型を使ってしこりを探すという時間も設けられた。参加者全員が実際に模型を触ってみてしこりがどのような感じかを直に体験できたようだ。
参加者へのアンケートによると、このワークショップについて「とてもためになった」と感じた人が大多数だったという。「検診の大切さを改めて感じた」「日本語でこうしたセミナーがあると助かる」 「実際にしこりがどういう感触かを体験できて参考になった」という感想が寄せられた。


乳がんと医師から宣告されたら誰しも衝撃を受けるに違いない。ことに家族が日本にいる場合、誰に頼ればいいのか、どのような心構えでいればいいのか、悩み苦しい思いをするだろう。そんな人たちの力になれたら、と2007年に立ち上げられたのがサポートグループの「つどい」である。グループのメンバーは、自身がつらい病気を乗り越えてこられた方が多いからか、内からにじみ出るような暖かさと優しさが感じられる。「つどい」はすべてボランティアで活動しており、医療的アドバイスは提供しないが、参加者が5人以上集まればこのような乳がんしこり体験ワークショップを開催してくれる。また、月1回の集まりもあり誰でも参加できるので、気軽に問い合わせてみて欲しい。


早期発見のために、3点セットで実施しましょう!
1.セルフチェック
2.マンモグラフィー
3.医師による定期検診

 

(取材 大島多紀子)

 

乳がんサポートグループ「つどい」

電  話:604-319-4286
F a x:604-433-7831

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