2017年8月10日 第32号

暑い夏にふさわしいアニメの祭典、アニメレボリューション。アニメファンが待ちに待った開催6回目となる夏季大会が8月4日から6日の3日間、バンクーバーダウンタウンのコンベンションセンターで開催された。冬季に行われる大会を含めると10回目となる。昨年より広い会場を確保するため、今回は西側の、より大きなコンベンションセンターに移った。アニメや日本の文化を展示、パネル、パフォーマンスなどによって紹介する。アニメファンは、アート作品やアニメーション、マンガ、コスチューム、ダンス、ゲーム、音楽などの様々な形で、アニメを楽しむことができる。開会式の前から、コスプレで仮装したファンが賑やかに集まり、お祭りはすでに始まっていた。

 

コスプレコンテストでジャーニーマン賞を受賞したサブリナ・ケンテル・アカさん(Photo Credit:Anirevo Media Team)

 

オープニング

 次々と映し出されるアニメミュージックビデオでイベントがスタートした。500人を超える参加者が集まった。岡井朝子在バンクーバー日本国総領事は「日本ではアニメが始まって100周年になる。アニメは世界を結びつける役割を担っている。もっと多くの人が日本に興味を持ち、日本を訪れてほしい」と、若い人たちに呼びかけた。

 そして『トキメキメイド』による息の合った華やかなダンスへと続いた。フリーダンスで 注目を集めるのは、アルバート・セイギールさん。1人で踊っているとは思えない迫力。そしてプログラミングディレクター、ジェレミー・アンドロソフさんによりゲストプログラムが紹介された。最後に、司会者ディーン・レッドマンさんによる賞品付きのクイズで、会場は一気に盛り上がった。

 

トークショー  声優の小西克幸さんを迎えて

 アニレボでは3日間にわたって、ゲストを迎えてのトークショーが行われる。普段接することのない、声優とアニメファンが交流できる貴重な機会だ。日本からのゲストの1人、小西克幸さんは、『ヘタリア』シリーズのカナダとアメリカ役、『天元突破グレンラガン』のカミナ役で知られている。150人ぐらいのファンの前に現れた小西さんは、「バンクーバーに初めて来ました。今、ホテルに着いたばかりで、みんなに会えてテンションが上がっています」と興奮気味。「声優になって20年、現在44歳…」と切り出した小西さん。声優のどういうところが楽しいかという質問に、「いろんなキャラクターに出会えるし、そのキャラクターになれるチャンスがある」と答えた。また、恥ずかしいセリフであっても、キャラクターを演じているので恥ずかしいとは感じない、自分が演じる作品は必ず全部チェックしている、とプロ意識を見せた。一方、「仕事以外の趣味はゲームだけ」、「収録中は、口の動きに合わせて頑張っているので、お互いに雑談はできない」、「ふふっと笑うだけで、お給料をもらっていいのだろうか、と思うことがある」など、ファンの質問に答えながら、素顔を見せた。「ファンとの交流は楽しい。今日は会えてうれしい、ありがとう」と締めくくった。

 

アニメ映画音響監督の素顔  高寺たけし氏を迎えて

 高寺たけし氏が、バンクーバーのアニレボにゲストとして来るのは、これが3回目。記者会見に現れた高寺氏は、気取りのない、親しみやすい風貌。どのようにして、現在の仕事である音響監督になったのかという質問に、「子供のころアニメが好きで、音で貢献できたらという思いがありました。助手になって勉強し、今の仕事を得るまでに10年かかりました」と答えた。音のないアニメのキャラクターに生命を宿らせることが面白い。また、セリフだけでなく、音響全ての責任を負うので、光栄でやりがいのある仕事なのだそうだ。若い人たちへのアドバイスを尋ねると、「あきらめないこと。何でもあきらめたら終わり。続けていれば、それを見てくれている人、助けてくれる人が必ず出てくる」と。子供のころはパイロットにもなりたかったが、このように大会に呼んでもらい、飛行機で海外に行けるのはありがたいと言う。仕事以外ではスノーボードが好きで、いつか冬にウィスラーにきて、スノーボードをやってみたいそうだ。

 

ボランティアの力

 アニレボの会場のあちこちで、カラフルなユニフォームを見かける。スタッフとボランティアだ。ブルーのユニフォームはスタッフ、ピンクのユニフォームはボランティア。ボランティアもスタッフも、誰もがなれるものではなく、多い時は500人ほどの候補者から約200人が合格し、研修を受ける。特にスタッフは経験も知識も必要で、仕事の内容も重要になってくる。スタッフもボランティアではあるが、アニレボの3日間だけでなく、1年に渡り準備のためのミーティングを持っているという。ボランティアの1人、法幸勇一さんはワーキングホリデーでバンクーバーに来て、現在、日本語を教える仕事をしている。将来、アニメだけでなく、日本の文化を世界に広めるような仕事を目指しているので、アニレボのボランティアにも参加したそうだ。カナダで、こんなにアニメが愛されていることに驚きを覚えると同時に、喜びも感じた、と話してくれた。スタッフの1人、広瀬歩さんは、長年の日本語学習や、大学の交換留学で培った日本語能力をいかし、通訳としても活躍した。「アニメも、翻訳、通訳も好きなので、役に立ててうれしい。アニメ好きがこれほどたくさん集まることは、アニレボ以外ではないので、本当に楽しい」と笑顔を見せる。ボランティアは総勢、約200人。ボランティアとスタッフの底力なしに、アニレボの成功はありえない。

 

将来に向けて

 回を重ねるごとに、内容が充実してくる、アニメレボリューション。まだまだ可能性は無限大。今後の予定は、ホームページhttps://www.animerevolution.caで発表される。ぜひチェックして、お見逃しのないように!

(取材 松本 睦)

 

開会式で挨拶する岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(Photo Credit:Anirevo Media Team)

 

トークショーでファンの質問に答える声優の小西克幸さん(中央)

 

ピアニスト、 ザ・イシュター(Photo Credit:Anirevo Media Team)

 

記者会見でインタビューに応じる音響監督の高寺たけしさん

 

スタッフの広瀬歩さん

 

ボランティアの法幸勇一さん

 

コスプレを楽しむ参加者(Photo Credit:Anirevo Media Team)

 

コスチュームを楽しむ参加者たち

 

コスチュームを楽しむ参加者たち

 

コスチュームを楽しむ参加者たち

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。