この原作を映画化した理由を教えてください。

原作を基に自分なりのアイデア入れて、アニメーション映画にしたいなって。最初は自分にとっての夢で、できるとはあまり思ってなかったんですよ。時代が求めている作品でもないなと思っていたので、派手な作品にしようとも思ってなかった。20年ぐらい自分の中で育てていたんです。原作にある江戸時代の河童が現代に蘇り、現代の人達と接するというアイデアが僕にとっては一番面白かったですね。色んな事が語れるだろうと。

アイデアというとメッセージ性を伝えたかったということでしょうか?

そうです。昔は河童がいたはずなのになぜ今はいなくなってしまったのか、不思議な話なんですけど、僕は河童を見たことがないですが、この映画が完成した後、河童を見たことがあるという人に何人も出会ったんです。それも凄く具体的に話してくれたんです。そういう話はやはり今もたくさんあるのだなと思って興味深かったですね。

空・川の風景が違って見えたのですが。

河童というのは水の中で泳ぐ妖怪なので、水の表現にはなるべく気をつけようと思っていたんですよ。こだわりたいと思っていて、それには手書きで何かするよりもコンピューターグラフィックで水らしい表現を加える形を取るのが良いなと思ってああいった絵作りにしました。

苦労した点は何ですか?

短くすることが一番難しかったですね。ストーリーボード、絵コンテっていうんですけど、単体では3時間以上あったのでそれをいかに公開できる現実的な長さにするか。それにはやっぱり書きかけの絵を含んだたくさんの絵をカットしていったのですね。それは僕にとって、もの凄く辛い作業でした。

一番伝えたかったことはなんでしょうか?

はっきり答えを出さない映画がいけない訳ではないと思います。その映画の中だけで全て解決するようなもの。この作品というのは見終わった後もそれぞれの人の中で続いていって欲しいと思って作りました。彼らはあれからどう行動しただろうか考えてもらいたいなと思いました。

これからの予定はありますか?

いくら面白かったとしても映画館を出たとたんにもう覚えていないような映画は作りたくないかなと。なにかしらやっぱりこう心に残る、それが楽しい映画であっても同じなのですが、ただ楽しかっただけではなくて、何かを自分の家に持って帰ってもらえるような作品を作っていきたいなと思っています。

 

(取材 大和久麻貴)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。