2017年8月3日 第31号

7月30日、ウエスト・バンクーバー市内のセント・スティーブンス聖公会でライオンズ・ゲート病院支援のためのチャリティー・コンサートが開かれ、約60 人がピアノとハープの音色に聴き入った。

 

(左から)チャリティー・コンサートを企画したアダムス弘美さん、大竹美弥さん、大竹香織さん、いまいのりこさん、教会の音楽ディレクター、アナベル・ペイジさん

 

音楽を通して病院を支援

 アダムス弘美さんが企画する病院支援のためのコンサートは今年で3年め。バンクーバー総合病院、バンクーバー島ナナイモの総合病院、デルタ総合病院への支援を経て今年はノースバンクーバー市のライオンズゲート病院支援のために開催された。一昨年、夫のコンラッドさんがバンクーバー総合病院に入院し手厚い看護を受けたことから病院の大切さを実感したアダムスさんは、音楽を通して病に苦しんでいる人たちをサポートしたいと話す。

 

癒しの音色

 日曜日の午後、教会堂に大竹美弥・大竹香織姉妹による温かなハープの音色が流れた。香織さんはこの夏亡くなった大久保信義さん(元日本ハープ協会相談役)と、アンジェラ・パディラさん(世界ハープ会議理事)、そして愛犬ジョシュアに捧げてソロ演奏を。次に『伝説〜ルコント・ド・リールの詩「妖精」による』(ルニエ)のストーリーを説明し「馬が出てきて王女を助けたあと、結末はどうなるでしょう?」と問いかけて弦を弾き出す。ハープを愛する心、曲に込められた想いが伝わってくる。

 姉の美弥さんは『アラベスク第1番』(ドビュッシー)、『ナイチンゲール』(デボラ・ヘンソン- コナント)を優しく奏でたあと、ハープのボディを叩きながら『バロック・フラメンコ』を情熱的に演奏した。

 

ロマンの世界へ

 30 年来の友アダムスさんの趣旨に賛同して、3年連続で日本から参加したのがコンサート・ピアニストのいまいのりこさんだ。各地で行われる演奏会では、馴染みのない製造会社のピアノに出会うこともしばしば。

 「初めて出会うピアノと自分の中にある音楽。新しい出会いによる課題はひとつの挑戦であり楽しみでもあります」と話す。

 前半はショパン。『ノクターン』のせつないメロディーから始まり『子犬のワルツ』や『24 のプレリュード第7番』など聴き覚えのあるメロディーが心地良い。聴衆を自然にロマンの世界へ惹き込んでいくところに、ベテランの力量を感じさせた。

 続いてシューマン『交響曲練習曲作品13』より4曲を抜粋。オーケストラを思わせる豊かな響きが会場に広がった。

 

 美しい音楽をたっぷりと聴かせてくれた2時間。いまいさんは教会の音楽ディレクター、アナベル・ペイジさんとの連弾も披露し、シニア教会員の多くが親近感を持って楽しんだようだ。加えてハープのCD やコーストホテル宿泊券が当たるドアプライズも!

 収益金は最先端の設備を備えた新しい手術・病棟建設のために寄付されるという。

(取材 ルイーズ 阿久沢)

 

『前奏曲』(セザール・フランク)を2台のハープで演奏した大竹美弥さん(左)と大竹香織さん(右)

 

ショパンとシューマンほかを演奏したいまいのりこさん

 

約60 人が出席したチャリティー・コンサート

 

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