― お疲れ様でした。日本のためにほんとうにありがとうございました。
スティーブ 僕は8年間、日本で英語教師をしていましたので、今回の大震災にはほんとうに驚きました。その惨状をテレビで見て、何か、自分でもお手伝いできないか、瓦礫の後片付けに日本へ行こうかとも考えましたが、少し前にギックリ腰をやっていたもので、かえって迷惑をかけることになるかもと思い、義援金をできるだけ広く募り、また、できるだけ多くのカナダ人にも参加してもらう方法としてのアイディアでした。


― エドモントンからバンクーバーまで歩くとは、また過酷なプランだったんですね。
スティーブ 僕たちはエドモントンに住んでいて、日本の方角のバンクーバーへ向けて歩き、その過程で各地のメディアやコミュニティで日本についての理解を深め、さらに東日本大震災のことをアピールして義援金を募りました。


― 1,218kmを歩く、というのは確かに人々に強い印象を与えますよね。
スティーブ そうですね。各地で、マスコミのインタビューや講演に呼ばれたり、道行く人からの質問に答えたりで、予定の歩行距離を調整するのがたいへんでした。


― 平均して一日にどれぐらいの距離を・・・?
スティーブ 30kmから50km、7時間を目安に。


― それは、難行ですね。日本のお坊さんの苦行や、四国48か所めぐりのような・・・。
スティーブ はい、それもイメージにありました。


― 日本で昔、人の願い事のために自分がもっとも好きなことを一定期間「断つ」、つまり我慢するということで思いを共有する風習がありました・・・。
スティーブ 東日本大震災後の報道を見ていますと、日本人の我慢する精神性の高さ、そして、協調性を強く感じます。そうした日本人の文化性を各地で述べてきましたが、賛意を示す人が多かったですね。


― 今、日本で「絆」という言葉が多く聞かれるようになっていますが、スティーブさんのそうした行動はまさしく絆であり、ほんとうに心強く思います。心からお礼申し上げます。


*スティーブ・ジョンソンさんのホームページアドレス(義援金の送付先なども記されています)http://walkforjapan.blogspot.com

 

(取材 笹川 守)

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