2016年10月27日 第44号

第二次世界大戦前に活躍した日系カナダ人の野球チーム、バンクーバー朝日軍。同チームの現役メンバーであるバンクーバー新朝日軍と、日本から修学旅行でカナダを訪れた日本大学鶴ヶ丘高等学校(東京・杉並区)の生徒たちとの交流会が19日、バンクーバー市のダウンタウンにあるハイアットリージェンシー・ホテルで開かれた。

 

交流会が終わったあと記念撮影する新朝日軍のメンバーと交流会の関係者

 

 午後6時過ぎからバンケットルームで行われた交流会には、新朝日軍のメンバーや同校の2年生と教員などの関係者ら約200人が集まった。

 はじめに、第二次世界大戦前にあったバンクーバー朝日軍の歴史を紹介するドキュメンタリー映像を観賞し、そのあと新朝日軍のメンバーらが入場した。朝日クラブ理事の一人である小川学さんから挨拶とチームの紹介があり、日本大学鶴ヶ丘高等学校に新朝日軍のTシャツや帽子などがプレゼントされた。

 セレモニーが終わると新朝日軍の選手一人ひとりが、同校の生徒たちが座るテーブルに散らばり、お互いの話をしながら交流を深めた。

 新朝日軍のアレック・ジョージ・アンドウ・カミング君は「テーブルには野球部の選手たちが座っていたので、自分たちの守備位置やどこのメーカーのグローブを使っているか、また日本のプロ野球選手についても話しました」と簡単な英語で会話をしたことを教えてくれた。

 また同チームのジョセフ・コウノスケ・シンクレア君は「『バンクーバーの朝日』の映画を観た人に『素晴らしいチームだったんだね』と言われ、朝日のチーム名を背負えることに誇りを持てました」と述べ、日本の高校野球の話を聞くこともできて楽しかったという。  

 また日本大学鶴ヶ丘高等学校・野球部の東拓君は「学校で『バンクーバーの朝日』の映画は観ました。体が小さいから頭を使う野球をしていたところは、僕らも同じなので親近感があります。戦争によって、好きでやっているスポーツができなくなるのは悲しいし、そんな経験はしたくありません」と感想を語った。鈴木陸久君は「今回の修学旅行で歴史を知ることができて良かったです。戦争によって野球ができない時期があったことを思うと、いま自分たちにとって野球ができることはありがたいことだと思います。来春に日本で予定されている新朝日軍の交流試合を見に行きたいです」と述べた。

 同校の川原容子校長は「バンクーバー朝日軍の歴史を通して、子供たちがこれから何をしなければならないか一人ひとりが考えて、未来につなげていくことが大切です」と語り、交流会の機会を得たことに感謝の気持ちを述べた。

(取材 古川 透) 

 

紹介された新朝日軍の現役メンバー

 

はじめにバンクーバー朝日軍のドキュメンタリーが上映された

 

各テーブルには新朝日軍の選手が座り(中央)、 日大鶴ヶ丘高校の生徒たちと交流した

 

川原容子校長(中央)にTシャツなどがプレゼントされた。左は朝日クラブ理事の小川学さん

 

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