振付師、舞台監督、ダンサーの三役をこなすシェイ・キュブラーさん。
Photo by David Cooper

 

 

『KAROSHI』制作のきっかけ

ニューヨーク・タイムズで過労死についての記事を読みました。東京で起きた地下鉄サリンガス事件に触れていました。「サラリーマン」のライフ・スタイルと、一部の若い日本人が社会に対してコントロールの欠如を感じていると報じられていました。私はアルバータ州のシャーウッド育ちで、空手と演劇を習っていました。今から思うと、そこで、『KAROSHI』の制作に対する考えが生まれました。 西洋と東洋の哲学が、日本社会でこの出来事を起こした。アーティストの私にとって、東洋の哲学と教えの背景が今日の自分の在り方に影響を与えてると感じています。『KAROSHI』と自分自身の間に、左右対称性を感じます。
また、ダンサー、そして、パフォーマーとして、私の仕事は身体的にも、精神的にも私の限界を超えることがあり、時々、自分は燃え尽きて死んでしまう寸前ともなりました。ある意味、ストイックで崇高でした。他の全てを放棄するほど完全に何かに没頭する『KAROSHI』の概念は尊敬に価すると同時に、非常に悲しく暗くもあります。興味深いのは、この混ざりあった感情なのです。

 

『KAROSHI』のポスター Photo by Brian Bello

 

日本文化をどのように感じていますか?

英国人、ウクライナ人、そして、ドイツ人の血を引くアーティストとしての私の基盤は日本の芸術形式をもとに発達し、成長過程では、和太鼓、合気道、柔道、空手と伝統的な日本舞踊の手ほどきを受け続けました。以前、東京で1カ月間、武道と和太鼓、日舞を習いました。その体験は私を大きく変え、東京という都市とそこでの人との出会いはそれからの人生に大きな影響を与えました。また、私は山本常朝の侍に関する著作や、格闘技映画、カラオケも大好きです。


バンクーバー新報の読者へのメッセージ

私はこの作品『KAROSHI』には大きな目的と重要性があると思っています。観客に楽しんで頂くために舞台制作に全力を尽くしています。特に日本の方々に見て頂き、ショーの後に皆さんの感想を伺いたいです。昨年の舞台は初日から多くの日本人が興味を持って鑑賞していると感じました。それは、この作品が西洋と東洋の両方に語りかけていて、全体として人間と社会にフォーカスしているからです。作品では日本文化と芸術性を表現しています。是非、ご家族やお友達と劇場にいらして頂けたら嬉しいです。

 

(取材 北風かんな)

 

『KAROSHI』の1シーンPhoto by Josh Hite

 

 

『KAROSHI』公演日程


4月2日(水)-4日(金)8:00開演 シャドボルト・センター・フォー・ザ・アート/ バーナビー

4月7日(月)7:30開演 アートスプリング/ソルトスプリング島

4月10日(木)7:30開演 ロータリー・センター・フォー・ザ・アーツ/ケローナ

4月12日(土)8:00開演 パフォーミング・アーツ・センター/バーノン

4月16日(水)8:00開演 キャピトル・シアター/ネルソン

4月19日(土)8:00開演 バルクレー・バリー・コンサート・アソシエーション/スミザース

公式HP: http://shaykuebler.com/

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。